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70話 仲間

 全員がやってきたのは地下のフードコートだった。


「まぁ、座れヤ。さっきは悪かったナ。危険な目に合わせてヨ」


 ピョコっとフードコートのソファーに座るサン。


「しかし、お前達が俺達を(かば)うとは思わなかった。迷惑をかけたな」


 ヘータも晴葵達に礼を言う。


「いやいや、君達も庇ってくれたしね。お互い様さ」


 晴葵がヘラヘラと笑う。


「ふっ!やはり、貴様らは吾輩の王としてのオーラに感動して、庇いたくなったわけだな!」


 なぜかショーだけは偉そうだ。


「それで?これだけ危険な目にあったんだ。君達の目的を教えてくれないかな?君達の『ボス』を裏切ってでもしたい事を」


 珍しく晴葵が少し真剣な目でサンに声をかける。


「でないと、お尻を撫でさせてもらうよ」


 あ、違った。


 全然真剣じゃなかった。


「ケツ撫でられんのはお断りだからナ。言うしかネーカ。一言で纏めりゃ、ウチらは『ボス』に戻って欲しいんだヨ」


「ん?どういうことだい?」


「『ボス』は元々、もっと優しい性格ダッタ。ウチらに『侵入者を消せ』なんて命令、絶対にしない奴だったんだヨ」


 サンが少しさみしそうに話す。


「それがある日、変わってしまった。そして『ボス』は言ったんだ。『外の世界を消して、データだけの楽園を作ろう』と」


 外の世界とはおそらく現実世界の事だろう。


「ど、どうしてそんな危険な考え方になったのかな?」


 幸大がおずおずと尋ねる。


「ンノオオオオ!わからん!わからんのだ!尋ねたくとも尋ねられぬ!なにせ、今の『ボス』はこの街におるようでおらん!このデータの世界の果てにおる!さらに『ボス』には側近がいて、その側近が『ボス』に指示しているのだ!」


「なるほど。その側近が怪しいねぇ」


 晴葵が頷く。


「アァ、そして『ボス』の命令でウチらはこの世界の各場所を守護してる訳ダ。元々好戦的なディガンマはノリノリで命令を喜んダ。コッパやサンピは疑問に思いながらも『ボス』の命令だから従ってル。けど、ウチらは……おかしいと思ってル。あの優しい『ボス』がそんな事言うわけねーんダ」


 しょんぼりと下を向くサン。


 ヘータとショーも同じ意見のようで暗い顔をしている。


「……それで。話はわかった。けど、どうして俺達なんだい?」


「ウチらは『ボス』に作られた存在ダ。考えるのは自由ダガ、『ボス』に直接反抗は出来ネェ」


「なるほど。だから、俺達に止めて欲しいと……」


「あぁ、勝手なのはわかってル。けど、『ボス』は……アイツは私達の『仲間』なんダ!仲間が悪い事してんのを放っておけるほど、ウチらは賢くナイ!」


 目に涙を浮かべるサン。


 データにだって、誰かを思いやる気持ちはある。


 それを知った瞬間だった。


 それに何より。


「みんなはどう思う?俺は……『あの言葉』のせいで手伝いたくなってしまったよ」


 晴葵が『無敵の六人』メンバーに尋ねる。


「晴葵先輩。私達のこと舐めてます?」


 文菜が嬉しそうに晴葵を見る。


「拙者も迷いなどないぞ!あの言葉を聞けば心はヒイイイイイイイイイトアップ!」


 匡也も同意する。


「もっちろん!骨腕女ちゃん達を手伝っちゃいまーす!」


「やれやれ、あの言葉を使われては断れないじゃないの」


「晴葵、やろうよ!」


 全員が頷く。


「ほ、ホントにいいのカ……?」


 サンやヘータ、ショーが晴葵達を見る。


「だって、ボスは……オメガは君達の『仲間』なんだろ?なら、理由はそれで十分さ」


 ニコッと笑う晴葵。


 サンは嬉しさのあまり晴葵に飛びつく。


「あ、柔らかいものが……中々、いいねぇ」


 ニヤニヤとする晴葵に文菜がビンタしたのは言うまでもなかった。

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