69話 究極にして終の者『オメガ』
晴葵達の前に現れた黒髪の男。
「コッパからサンピが異常事態と連絡が入ってな。来てみれば……このザマだ」
サンピに気だるげな視線を向ける男。
「も、申し訳ない……『ディガンマ』」
ディガンマ。それが、この気だるげな男の名前らしい。
「心配するな。ディガンマは我々を助けに来てくれたのだ」
さらに、いつの間にか青髪のサンピの横に現れた新たな赤髪の男。
「『コッパ』……」
サンピが安心したようにコッパと呼んだ赤髪の男にもたれかかる。
コッパと呼ばれた男は穏やかな口調とは反対に、大柄で筋肉質な男だった。
細身で生真面目そうなサンピを優しく抱きしめる。
「済まないな。ディガンマ」
そう言い、サンピを抱いたまま一瞬にして屋上から姿を消すコッパ。
「気にするな。俺も……遊び相手が欲しかったんだ」
クールを通り越し、どこまでも暗く沈んだような気だるげな声でディガンマは晴葵達を見る。
「ど、どうしよう。緊急脱出が使えないなんて……!」
幸大が慌てたように呟く。
「一応、教えといてやろう。先程の空から聞こえたお前達の緊急脱出とやらを止めた声。あれが我々の言う『ボス』。その名を『オメガ』だ」
ディガンマが気だるげに言い放つ。
「オメガ……」
ポツリと呟く文菜。
「オイ、ディガンマ。ソイツらを消すのは待った方がいいゼ」
長い綺麗な髪を揺らしながらサンがディガンマに言う。
「……裏切り者の誤解は晴れたというのに、奴らを庇ってまた疑われたいのか?」
その気だるげにして物すら腐らせれそうな視線をサンに向ける。
「イヤイヤ、んな事するかヨ。ただ、ココはウチらの守護地、領土ダ。どうするかはウチらが決めるゼ」
ニヤニヤとギザギザの歯を見せて笑うサン。
ディガンマとしばし沈黙で睨み合ったあと。
「……いいだろう。領土やそこでの決定権を決めたのは『ボス』だからな」
スッと屋上から姿を消すディガンマ。
「オイ、ショー。ディガンマのヤロウはちゃんと守護地の駅に戻ったカ?」
これまで騒ぐこともなく沈黙を続けていたショーに声をかけるサン。
「むむむ!吾輩!復活!いやはや、ディガンマが来たせいで、これは話せば切り刻まれて撃ち抜かれる奴だ!と思って必死に黙っていたのだ!いやー!吾輩、偉い!」
急にいつものテンションで話し始めるショー。
「いいから、ディガンマの位置探れヤ。テメェの守護地はココじゃねーんだから追い出すゾ」
ため息混じりにサンが言う。
「ま、待て!分かった!見てみる!お、どうやらしっかりと駅に戻っているな。今は、駅内部にあるショッピングモールを見回っているようだ!」
決めポーズで報告するショー。
「よし、なら大丈夫ダロ。テメェらついてこい」
晴葵達に手招きするサン。
晴葵達はサンやヘータ、ショーを信用してついて行った。
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