66話 冗談だろ?
『ならふぁ』は巨大な二核型の大型ショッピングセンターで、東側の百貨店と北側の総合スーパーで大まかに構成され、それぞれエレベーターがある。
そして二つの間、南側にもエレベーターがあり、これが唯一屋上に繋がるエレベーターである。
「おっと、『隠れて不意打ち』という心配はなさそうだね。まぁ昼間だし、芝生の広がる屋上庭園では隠れることも出来ないか」
冷静に分析しながら屋上へと出る晴葵。
「逃げず、隠れもしなかったのは褒めましょう」
青色の西洋甲冑に似た鎧を着ている女。
「はは、逃げさせてくれなかったのは君の方だろう」
余裕たっぷりに笑う晴葵。
「私はサンピ。この世界のトップである『ボス』に従う一人」
「えーっと、色々わかんないワードが出てきたぞ。この世界には『ボス』が居るのか?」
「その通り。我々はこの世界の大いなる『ボス』に従う者。この者達もそのはずだったのだけれど……裏切り、人間につくとはね」
ため息混じりに首だけ振り返るサンピ。
そこには電気のロープのようなもので縛られたサン、ヘータ、ショーの姿が。
「サンちゃん!」
「ヘータ!」
「ショー!無事でござるか!」
小弓、幸大、匡也が叫ぶ。
三人は気を失っているようで返事がない。
その上、かなり傷だらけだ。
「ちょっと、あなた達の仲間なんじゃないの!?」
千弦がサンピに叫ぶ。
「仲間?所詮は『ボス』を共に守るという協力関係にあるだけだ。友情など皆無。それに裏切り者よ?遠慮などないわ」
冷酷に呟くサンピ。
「そうかい。いやはや残念だ、俺の仲間に何をするんだーとか言ってカッコよく助けたいところだが……俺達はそちらの三人と『まったく関係はない』よ」
「晴葵先輩!?」
文菜が慌てて晴葵を見る。
確かにあの三人は自分たちを攻撃してきたし、直接助けてもらった覚えもないが、それでも前回『デュアル』を出る瞬間に少しは仲良くなれたと思っていた。
少なくとも晴葵以外の五人はそう思っていた。
前回の緊急脱出の時の攻撃も本気ではなかったし、考え方によれば自分たちを早く脱出させるための演技にも近かった。
晴葵ならそれもわかっているだろう。
なのに、関係がない?無関係?
「あなた本気で言ってるの!」
千弦が晴葵に詰め寄る。
「あぁ、本気だよ。実際彼らは俺達を攻撃してきたじゃないか。あれは敵対行動だろ?」
千弦の気迫に怯むことなく呑気に話す晴葵。
匡也も驚いた様子で晴葵を見ている。
が、何かに気づいたように匡也は小さく笑ったのだった。
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