61話 重なる世界『デュアル』
そして、全員で小弓と幸大が作ってくれた遅めの晩御飯を食べる。
「おいしい!」
「やはり、外食もいいが、家で食べるご飯は別格だね」
文菜と晴葵は皿に盛られた豚の生姜焼きを口に運ぶ。
「うまい!うますぎる!拙者、箸が止まらぬわああああああああ!」
「食べる時くらい静かにできないのかしら?」
がっつく匡也に毒づく千弦。
「喜んでもらえてよかったね!」
「うん。小弓のおかげだね」
「幸大先輩も手伝ってくれたからだよー!」
ワイワイと食事を堪能する六人。
「それで、カスタマイズの方はどうだい?」
晴葵が隣の匡也に尋ねる。
「ふふふ、我らに抜かりはない!」
そう言って、自身のスマホを操作する匡也。
「全員にそう、しいいいいいいいん!」
すでにスマホの操作を完璧と言えるほどに覚えた匡也がアプリ経由で『デュアルワールド』専用アプリを送ってくる。
「これだね。まずは『デュアルワールド』自体の起動や設定を変えるアプリ。そして……お、これだ。デリートソードの強化やエラー・プログラムなど、様々なデュアルワールドの情報を書き換えれるアプリ」
「『デュアル・コマンド』よ」
千弦が頷く。
「晴葵に頼まれていたように、いつでも!どこでも!『デュアルワールド』の情報を変更できる!さらに!拙者と千弦殿は『デュアル・カスタム』というアプリを作成!プログラミングを行い、『デュアル・コマンド』の情報を書き換えれたり、追加機能を増やせるようにしてある!これで、さらなる強化も可能なの……だ!」
ぜぇぜぇと肩で息をする匡也。
言い切ったその顔は満足そうだ。
「そうか、二人共ありがとう。よし、それでは次に、あの空間をいちいち『閉鎖空間』と呼んでも味気ないので名前をつける!我らが『デュアルワールド』の世界と似た、重なる世界、『デュアル』だ!」
晴葵がババンと発表する。
「いいですね!」
「似てるけど違う。重なる世界で『デュアル』……かっこいー!」
文菜と小弓も満足そうだ。
「確かに、それがいいね」
「ええ、構わないわ」
「さいっこうのワードだぞ、晴葵イイイイイイイイイ!」
絶叫で喜びを示す匡也。
「じゃあ、今日はシャワーを浴びて寝ましょうか。さすがに疲れたわ」
「千弦ちゃん、大丈夫?」
小弓が心配そうに尋ねる。
「ええ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう」
あまり人と関わるのが苦手な千弦。
学校での生徒によるスマホ見せて攻撃や、長時間のプログラミング画面とのにらめっこで疲れたのだろう。
「お疲れ様、千弦。ゆっくり休んでくれ」
「ええ。それじゃ、お先に」
笑って階段を上がっていく千弦。
四人が笑顔で千弦を見送る中、晴葵はじっと千弦の居なくなった階段を眺めていた。
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