6話 我が家
そして、家への帰り道。
再び高校の方へと歩いてくる。
「ここらへんは暗いからちょっと怖いかも」
文菜が少し晴葵にくっつく。
「まぁまぁ、五人もいるし大丈夫だろう。何かあれば匡也の絶叫バリアで逃げていくさ」
「任せろ。拙者の『シャウト』を聞けば、周囲の者は数秒行動を制限される」
晴葵の言葉に匡也がふふんと鼻を鳴らす。
「それって僕達も動けなくなるんじゃ……」
幸大がもっともなツッコミを入れる。
「でも、この前変態に会ったんですよ。露出してて気持ち悪かった」
文菜がブルブルと震える。
「それは晴葵先輩を超える変態さんだねー」
小弓が驚いたように言う。
変態に『さん』付けするとは。
「晴葵先輩の変態は危険じゃないからいいの!あっちの変態は危険なの!」
文菜が晴葵にしがみついて身震いする。
「まぁ、男が三人もいるんだ。大丈夫だよ」
ポンポンと文菜の頭に手を置く晴葵。
そして、駅と高校の間にある五階建てのビルに着く。
このビルは晴葵の祖父が所有する建物の一つ。その為、高校生の晴葵達が寮でもないのに一人暮らし&ルームシェアを出来ているのは晴葵の祖父のおかげである。
一階は居酒屋の店舗になっており、そこの女将さんが晴葵達の保護者代わりとなってくれている。
一階が店舗。
二階が五人の共有ルームであるリビングやキッチン。
三階がトイレ&シャワー付きの男性部屋。
四階はトイレ&シャワー付きの女性部屋。
五階は特に何もないフリールームである。
「さぁ、中に入ろう」
店舗横の階段に四人を先に入れてから晴葵も入りカギを閉める。
二階に上がるとすぐに一階の女将さんから内線がかかってきた。
「はいはい」
「おかえり。今日は晩御飯どうするんだい?」
「あ、もう食べてきたので大丈夫ですよ。ありがとうございます」
「あいよ」
内線を切る晴葵。
「女将さんはいつも見事なタイミングでかかってくるな。もしや、サードアイの持ち主なのか!」
匡也が再び叫ぶ。
「はいはい、わかったから」
文菜が匡也の言葉にうんざりとした様子で返事する。
「じゃあ、晴葵先輩。私と文菜ちゃんは先に上がりますねー」
小弓が文菜を引き連れて上がっていく。
「ちゃんとシャワー浴びて寝るんだぞー」
「はーい!」
そして、女性の居ない二階に残された男性陣。
「さて、それじゃ俺達はもう少ししたら夜食でも作ろうか」
「あ、いいね。ちょうど小腹が空き始めてたんだ」
晴葵の提案に幸大が頷く。
「拙者はこってりと豚骨ラーメンをいただくとしよう」
「んじゃ、俺は味噌ラーメンかなぁ」
「僕は醤油にしよ」
晴葵は味噌、幸大は醤油を選ぶ。
「さすが無個性幸大。ラーメンまでオーソドックスとはな。無個性の極みよ」
「い、いいだろ。僕醤油ラーメン好きなんだよ」
こうして男性陣はのんびりとした時間を過ごしたあと、二階のソファーで眠ってしまったのだった。
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