56話 緊急はいざと言う時のみ
そして、こちらは『閉鎖空間』から緊急脱出を果たした六人。
「……ふぅ。上手くいってよかったよ」
気づけば六人は『ならふぁ』一階の人混みの中にいた。
「やっぱり僕達が急に現れたことには驚いてないね」
「私達が現れる瞬間に、現実世界全員の記憶が変わるようね」
幸大と千弦が頷き合う。
「ふっ、拙者のステルス能力にかかれば気配を消すことなど容易い。まさに!完全スウウウウウウテルスウウウウウウ!」
店内で絶叫して客の目を引く匡也。
「次、店内で叫んだら置いてくから」
「……すまぬ」
文菜の本気の目に縮こまる匡也。
全員がフードコートへ向かって歩き出す。
「それにしても好きなタイミングで脱出できるなんて、晴葵先輩すごいです!」
「はっはっは、もっと褒めていいんだよ?まぁ、この『エラー・プログラム』を作ったのは匡也だけどね」
小弓の言葉に晴葵が威張って答える。
「あなた、いつの間に……!」
「ふっ。晴葵に頼まれてな。いざという時の自滅プログラムを作ってくれ、と。まさか、あんな使い方をするとは思わなかったが」
「じゃあこれで『閉鎖空間』を行ったり来たり出来ますね!」
文菜が嬉しそうに言う。
「いや……それなんだが……」
途端、声が小さくなる晴葵。
「ん?晴葵、どうしたんだい?」
幸大が思わず尋ねる。
「実は、あれはその名の通り強制的にエラーを起こすもので……そのエラー内容というのが『デュアルワールドの破壊プログラム』なんだよ。その為、一度あれを使うと『デュアルワールド』が異常を感知してセキュリティシステムを作動させる。そして、それを発動させた機械にその『破壊プログラム』を送り返す仕様なんだよ」
「つ、つまり?」
「つまり、もうこのガラケーからは『デュアルワールド』を起動できない」
「「えー!」」
「そのため、あの『閉鎖空間』へ行く方法もない」
「そ、それは良かったと言うか、残念と言うか……複雑ね」
千弦が微妙な顔をする。
「まあ『デュアルワールド』のデータ自体は拙者や千弦殿のノートパソコンに残っておる。新たに不要のガラケーを改造すればよかろう」
「そうね……けど、あの『閉鎖空間』が私達の『デュアルワールド』と同じ設定なら、同じ『破壊プログラム』は二度と効かないわ」
「そのプログラムに耐性がついちゃうもんね!」
小弓が思い出したように叫ぶ。
「新しいガラケーと『破壊プログラム』が必要ね。まぁ、このガラケーがパソコンと同じくらいの性能があれば、いちいちパソコンと繋げる必要が無いのだけれど……」
千弦がポツリと呟く。
「パソコンと同じガラケーか……なるほどね」
晴葵は何か気づいたように一人で頷いた。
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