54話 似た者同士
「けど……なんでテメーがここにいんだヨ。テメーの守護地はこっから真反対の高校ダロ」
サンが面倒くさそうに尋ねる。
「ふっ、気になるか?気になって仕方ないか!?」
「ア、イヤ、やっぱいい……」
「よかろう!ならば教えてやろう!その理由は……」
サンの返事も待たずしてショーが大きく腕を広げる。
「ソノ理由は……?」
目を見開くショー。
「飽きたからだ!こっちの方が面白そうじゃないか!ヘータやサンばかり、人間共と会ってズルいじゃないか!」
クワッとヘータとサンを見るショー。
二人の目は……死んだ魚の目だった。
「コイツ、ここまで悲しいヤツだったんダナ」
「哀れだ……」
同情するヘータとサン。
「やっかましい!」
絶叫するショー。
「なんていうか……内輪もめ?」
「逃げれそうだから逃げようか」
遠足で引率の先生のように、みんなを連れてその場を離れようとする晴葵。
「オイ、なんでもいいがアイツら逃げちまうゾ」
サンが晴葵達を指さす。
「げ、バレた」
「めんどくさー」
文菜が心底面倒くさそうに、ため息を吐く。
「き、貴様ら……人間の分際で!吾輩をめんどくさいだと……!」
プルプルと体を震わせるショー。
「お、怒ってるよ……」
「マズいのではないかしら……」
慌てる幸大と身構える千弦。
「許さん!貴様らにはお仕置きが必要だな……チョエエエエエエエ!」
なんともカッコ悪い叫びと共にショーの指から打ち出される光線。
「きゃああああ!」
下半身に光線を受けてしまう文菜。
「文菜!」
晴葵が駆け寄る。
そこには、スカートが溶けて下着が見えている文菜の姿があった。
「フハハハハ!どうだ!これぞ『蛙の舌』!当たったものを溶かしてしまうのだ!フハハハハ!」
「……おい、ショー。これは人体には影響あるのか?」
高笑いするショーに晴葵が恐ろしい威圧で尋ねる。
「な、なに……!」
「答えろ!」
晴葵が叫ぶ。
「じ、人体には影響はないです!」
慌てて半泣きで教えるショー。
「オイオイ、たかだか人間でこの威圧……アイツ、何者ダ?」
「俺達を抑え込むとは……」
サンとヘータも警戒する。
「そうか……なら」
頷きショーを振り返る晴葵。
「ひぃ!」
怯えるショーに向かって晴葵は叫んだ。
「もっとやってください!」
「……へ?」
「ハ?」
「……なに?」
キョトンとするデータ一同。
もちろん幸大達もキョトンとしている。
「人体に影響がなく!服だけ溶ける!これは奇跡の力と言っても過言ではない!さぁ!どんどん女性陣に撃つんだ!早く!」
大興奮で叫ぶ晴葵。
「晴葵、あなたって人は……」
「晴葵せんぱーい……?」
千弦と文菜がプルプルと近づいてくる。
「い、いや、これは。あのナルシストキングの能力だから……俺は悪くない……」
「「一回地獄へ落ちろ!」」
「うがぁ!」
仲良く千弦と文菜に殴られる晴葵。
「アイツっていつもあんな感じカ?」
「うん。みんなは晴葵先輩のこと『変態』さんって呼んでるよ?」
仲良く話すサンと小弓。
「貴様らも大変だな」
「そ、そっちもすごい人がいるね……」
こちらも何故か打ち解けているヘータと幸大。
「フハハハハハハハ!」
「ヌハハハハハハハ!」
なぜか高笑い勝負をするショーと匡也。
おかしくも和んだ雰囲気に包まれていた。
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