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53話 輝かしき吾輩!

「チッ、メンドクセェのが来たナ」


「……あぁ」


 邪魔が入ったとばかりに舌打ちをするサンとヘータ。


 そして、音楽が鳴り止むと同時に。


「ククク、吾輩(わがはい)降臨!」


 バサァと厨二病でもしない痛々しい黒い衣装を身に纏い、シルバーアクセじゃらじゃらで登場した黄色髪の男。


「な、なな……」


 声の出ない一同。


「ふっ、どうした?あまりにも吾輩がカッコよく神々しすぎて声も出まいか」


「な……ナルシストキング」


 思わず呟いてしまう晴葵。


「だぁぁぁぁぁ!誰が『ナルシストキング』だ!吾輩には『ショー』という聖なる名前がある!」


 同意を求めるようにヘータとサンを振り返るショー。


 しかし、二人は横を向いて笑いをこらえていた。


「な、『ナルシストキング』……いい名前ジャネーカ。グフフ」


「そ、そうだぞ……せっかくのあだ名だ……だ、大事にしなくてはな……くっくく」


「貴様らー!貴様らだって『ロングマフラー男』と『骨腕女』ではないか!」


 ウガーと叫ぶショー。


「いや、『骨腕女』は事実だしナ。事実は受け入れるしかねーヨ。だろ、『ナルシストキング』」


「あぁ、俺も『ロングマフラー男』というあだ名が意外と気に入っているんだ。そうだろ、『ナルシストキング』」


 先程の笑いから一転。


 真顔で返すサンとヘータ。


「いちいち不名誉(ふめいよ)なあだ名で呼ぶな!」


 叫ぶショー。


 気を取り直して晴葵達の方に向き直る。


「まったく……第一貴様らが吾輩に……」


 が、晴葵達の姿はない。


「逃げられたな」


「残念だったナ、『ナルシストキング』」


 ヤレヤレと肩をすくめるヘータとサン。


「な、舐めおって。人間めぇ……!」


 ショーのプライドは傷つけられ、怒りはMAXだった。



「なんとか、逃げれたねぇ」


「ふっ、これも拙者達の作戦勝ちよ」


「アンタじゃなくて晴葵先輩のおかげでしょ」


「けれど、強大な敵が『ロングマフラー男』と『骨腕女』の二人だけでなかったのは痛いわね」


「三人目が居たなんてねー!」


「色んな意味で『痛い』人だったね……」


 全員がワイワイとエレベーター内で話す。


 そして一階。


「よし、化粧品売り場を直進して外へ出ようか」


 エレベーターが開く。全員が外へ出た。


 瞬間。


「どこへ行く気だ?」


 六人の目の前に『ナルシストキング』、ショーが現れる。


「なっ!」


「吾輩は、相手に一切気付かれる事なく観測する『裏の目』。そして、一瞬にして長距離を移動する『影の足』など、いくつもの特殊能力を持つのだ。貴様らのエレベーター内での会話はもちろん、貴様らが一階についてからでも屋上から瞬時にここへ来れる!」


 ショーがオーバーリアクションで高らかに自慢する。


「ありゃりゃ……そいつは反則じゃないのかい?」


「ククク、反則だと?やはり吾輩は反則級の強さにして反則級のカッコよさを持ってるというのか!」


「カッコよさは言ってないのだけれど……」


 一人で満足するショーに千弦が呆れる。


「放っておくしかないよ。なにせ『ナルシストキング』だから……」


 幸大が千弦に助言、それと同時に晴葵がショーに向かって走り出す。


「そういうこと……さ!」


 そして、『デリートソード』で一閃。


「ぬおおおおおお!」


 間一髪で(かわ)すショー。


「き、貴様!いきなり攻撃とか野蛮人か!」


「アウトローと呼んでほしいね」


 ショーの驚きに笑顔で返す晴葵。


「ケケ、盛り上がってるジャネーカ」


 サンとヘータも合流して晴葵達はピンチだった。

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