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51話 急がば回れ、けど急げ

 家に戻ってきた六人。


「全員オッケーかい?」


「ふっ、準備万端でござる!」


「けど、本当にこれでまた行けるのかしら?」


「かなり緊張するね」


「幸大先輩、がんばろー!」


「晴葵先輩、行きましょう!」


「よし。『デュアルワールド』起動」


 晴葵がガラケーのスイッチを入れる。すると他の五人のガラケーも連動して起動される。


 すると、再び警告音が鳴り響き『ERROR』と表示される。


「来た!」


「行くぞ!」


 そして、『ERROR』でいっぱいの視界が正常に戻る。


 先程までの外から聞こえる喧騒は止み、世界は静寂に包まれている。


「……よし、外に行こう。全員メガネは絶対外さないように。もし前回のように敵が現れた時、メガネ越しでないと視認出来ないからタコ殴りにあうよ」


「ぜ、絶対メガネつけておこう」


 幸大が緊張したように言う。


 そして、外に出る六人。


「よし、『ならふぁ』の屋上に行ってみよう」


 こうして六人は外へ出て『ならふぁ』へと向かった。



「……む」


「ンア?どうした?」


 地下のフードコートでガリガリと棒付き飴をかじる骨腕女が、急に顔を上げたロングマフラー男に尋ねる。


「……何者かが侵入してきた」


「オ、前回の奴らか?」


「わからん。こちらに向かってきている」


「ケケ、面白ぇ。ちょっくら遊んでやるカ」


 ガタッと椅子から立ち上がり、入口を睨むロングマフラー男と愉快そうに笑う骨腕女だった。



「さて、敵は居ないかな。匡也、『デュアルワールド』で敵の位置を探るレーダ機能あっただろ?あれを試してみてくれるかい?」


「む、なるほど。ここがデータで作られた世界ならゲーム用レーダーも役に立つやもしれん」


 匡也がすぐさま索敵を開始する。


「ふむふむ……なるほど。まっすぐ直進、フードコートに何かしらの反応があるが、左のエレベーターなら反応に近づくことなく屋上へ行けそうだ」


「じゃあ、左だね」


 コソコソと迂回(うかい)して左のエレベーターへと向かう六人。


「ね、ねぇ……反応がこちらに向かってきてないかしら」


 千弦が匡也のガラケーを指さす。


「わわ、本当だ!近づいてきてるよ!」


「早くエレベーターに乗りましょう!」


 慌てて六人はエレベーターに乗り込み、屋上へ向かった。


「……チッ」


「ケケ、逃げられたナ。どうやら前回の奴らで間違いないようダ」


 晴葵達の居なくなったエレベーター前で舌打ちをするロングマフラー男と、これまた楽しそうに笑う骨腕女。


「行くぞ」


「オウ」


 二人は人間離れした速さで、屋上に向かって階段を駆け上がっていった。

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