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50話 皆で一つ、皆で無敵

「「いただきまーす!」」


 おいしそうに食べ始める一同。


 全員が半分ほど食べ終わった頃。


 晴葵はにこやかに全員の食事風景を眺めていた。


「……どうしたの?」


 晴葵の向かいに座る千弦が晴葵の視線に気づく。


「あ、いや。何でもないよ」


 へらへらと笑ってオムライスを食べる晴葵。


「はぁ……本当に。一人で溜め込むタイプね。あなたって」


「え?」


 晴葵が顔を上げると、全員が食べる手を止めて晴葵を見ていた。


「ふっ、晴葵よ。何か言いたいことでもあるのであろう?拙者達にはお見通しであるぞ」


「そうだよ、晴葵。黙ってるなんてさみしいじゃないか」


「そうですよ、晴葵先輩!」


「私に何でも言ってください!」


「『私達に』でしょ」


 千弦が文菜にチクリと突っ込む。


「みんな……」


「晴葵。あなたにとって私達はそんなに頼りないかしら?そんなに信頼出来ない相手かしら。あなたにとって『仲間』とは、そういうもの?」


 丁寧に口を拭いた千弦が晴葵を見つめる。


 もちろん晴葵と千弦以外の四人も晴葵を見ている。


 嘘偽りなんてない、真っ直ぐな瞳で。


 だから。


「……俺は、俺はまた『閉鎖空間』に向かおうと思う」


 それに応えるのも仲間の責任だ。


「……どうして?」


 目を閉じて静かに聞いてくる千弦。


「あの閉鎖空間がどんなところかはわからない。安全じゃないのもわかっている。けど、俺達が一生懸命作った『デュアルワールド』に悪影響があるなら、俺は放っておけない。俺が、俺達が作った『最高』を汚す奴がいるなら……俺は許せない」


 真剣な目で晴葵は千弦を見る。


 普段のおちゃらけて、のんびりとした晴葵からは想像がつかない。


「……危険が伴うのよ?必ず戻ってこれる保証もない」


「あぁ……だから、みんなは残ってくれて構わない。俺は」


 晴葵がそこまで言いかけた時。


「それが、私達は許せないんです!」


 店中に響き渡る大声で文菜が立ち上がる。


「文菜……?」


「なんでも、一人で背負って!一人で無茶して!一人で……傷ついて……私達は『仲間』なんじゃないんですか!」


 悔しそうに叫ぶ文菜。


「……そうでござるよ、晴葵。拙者達を置いて、一人で危険な目に会い、お主が居なくなれば、悲しむ者はいるのでござる。ここに……居るのでござるよ」


 匡也が寂しそうに笑う。


「晴葵先輩、私達は六人で無敵!なんですよ!」


 小弓が子供に優しく注意するように言う。


「そうだよ、晴葵。確かに危険がある。他のみんなはわからないけど、僕はとっても怖い。あそこに行くということが。けど、晴葵。僕らにとって、君が一人で危険な事をする方がもっと怖いんだ。君が居なくなる可能性を考えることが、怖いんだ。だから、怖い者同士でも、一人よりはマシだろう。1+5の力は……1じゃないだろう?」


 幸大が頷く。


「そういうことよ。あなたの事だから、どうせこういう話だろうと思って、あなたが寝ている間にみんなで話し合ったのよ。そうしたら、面白いことに全員が『行く』そうよ?」


 千弦が不敵に晴葵に笑う。


「みんな……あぁ、頼む!」


 強く頷く晴葵。


「では!これより帰還の儀を行う!無事に帰って再びここでオムライスを食べるのだ!」


 匡也が叫ぶ。


「さんせー!」


 文菜も笑う。


「みんな……ありがとう」


 この時、晴葵は泣いていたそうだ。

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