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49話 臨時収入?

 次の日。


 すっかり寝不足の六人。


「拙者……睡魔により深淵に導かれそうである……」


「普通に眠いって言ってよ……」


 うつらうつらする匡也と眠そうに目をこする幸大。


「すやーすやぁー」


「小弓ー……朝だよー……」


 こちらも同じく非常に眠そうな文菜と、もはや寝ている小弓。


「まったく、昨日あなた達が覗きに来なければこんな事にはなっていないわ」


 優雅に朝食後の紅茶を飲む千弦。


「ふわああ……にしても千弦はよく眠くないねぇ……」


「夜通し作業してたら慣れるわよ?」


「す、すごいね……」


 幸大が若干引き気味に褒める。


「今、引いたかしら?引いたわよね!沈めるわよ!?」


 千弦がムキになって立ち上がる。


「い、いえ!引いてないです!す、すごいと思いました!」


 慌てて幸大が否定する。


「……本当に?」


「はい!僕ならとても真似できないなぁって……」


 苦笑いで幸大が言う。


「……まぁいいわ」


 納得したのか千弦も座り、再び紅茶を一口飲む。


 話が一段落したのを見計らって晴葵が口を開く。


「みんな、ちょっと眠気覚ましに昼になったら出ないかい?」


 全員が何事かと晴葵を見る。


 相変わらず呑気な口調ではあるが、どこか真剣な目だ。


 五人はどことなく真面目な雰囲気の晴葵に頷いた。



 そしてあまりの眠気から一眠りして昼。


 六人はいつもの地下のフードコートではなく、『ならふぁ』六階にあるオムライス店に来ていた。


「本当に好きなの食べていいのー!?」


 小弓が嬉しそうにメニューを見ている。


「晴葵、お金大丈夫かい?安いとはいえ全員分は……」


 幸大が心配そうに聞いてくる。


「まぁまぁ、ちょっとした臨時収入があってね。気兼ねなく食べるといい」


 晴葵が呑気に笑っている。


「拙者!この特大を食してみたかったのだ!今こそ!一騎打ちの時!」


「匡也、あんた遠慮とかないの?」


 文菜が匡也を睨む。


「あはは、気にしなくていいんだよ。文菜も好きなのを食べてくれ」


「足りなかったら、手伝うわ」


 千弦がメニュー表からチラリと顔を上げて提案してくれる。


「あぁ、ありがとう。けど、大丈夫だと思うよ。なにせ今の俺はリッチだからねぇ。さて、俺はこの『ビーフシチューおむらいす』にしようかな。みんな決まったかな?」


 全員の同意を得て、店員を呼ぶ晴葵。


 そして、しばらくして全員の前においしそうなオムライスが運ばれて来たのだった。

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