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47話 肉は一気に入れちゃダメ

 そして、夜。


『無敵の六人』は家ですき焼きをしていた。


 もちろん水着……ではない。


「どうして、ダメになったんだ……」


 晴葵が残念そうに呟いて白ネギを自分の器に移す。


「そこだ!」


 匡也が華麗に肉をすくいあげる。


「当たり前よ!そんな企画ボツに決まってるでしょ」


 千弦が白菜の芯で肉を隠す。


「私は別に平気ですよ?」


 文菜が肉を美味しいそうに口に運ぶ。


「私もー!楽しみだったのになぁー」


 小弓が糸こんにゃくをちゅるると吸っている。


「ふっ、遅い!」


 匡也が千弦の隠した肉をすくいあげる。


「何を言ってるの!こんな変態の集団に水着を見せるなんて狂気の沙汰だわ」


 再び白菜の芯で二枚の肉を隠す千弦。


「あの、変態の集団に僕も入ってるんですよね……」


 幸大が一応確認する。


「隠れ身か!拙者にはお見通しよ!」


 匡也が再び白菜の下から肉を奪い取る。


「当たり前じゃない。差別なく男は変態よ……って、匡也!また私の肉取ったわね!」


 千弦が隣の匡也を責める。


「ふっ、食して欲しそうに沈んでおったのでな。口へと救出したまでよ」


「そ・れ・を・奪うというのよ!」


 匡也の頬を引っ張る千弦。


「まぁまぁ、肉はまだまだあるさ。次は取られないようにね」


 そう言って千弦の隠したもう一枚の肉を自分の器へと移動させる晴葵。


「晴葵!あなたもどさくさに紛れて何してるのよ!」


 千弦が匡也の隣の晴葵に怒鳴る。


「はっはっは。忘れられてたみたいだからね。食べておいてあげたよ」


「……そう、いい度胸ね」


 そして肉のパックを一つ持ち上げ、開封する千弦。


 現在、鍋に野菜は少ない。絶好の肉炊き準備万端状態だった。


 そして。


「さぁ、次はあなた達が作りなさい!」


 一気に一パックの肉を放り込む千弦。


「あー!何をするんだ!みんな!早く肉をほぐすんだ!」


「千弦殿、乱心にも程があるでござるううううううう!」


「わわ、固まったまま焼けてきちゃったよ!」


「匡也!もっと早くお肉ほぐして!」


「どんどん団子になってるよ!」


 慌てる一同に対して、優雅に器の野菜を食する千弦。


「さぁさぁ、急がないと固まって団子の肉の塊になるわよ。煉獄の業火!火力アップ!」


 そう叫び、コンロの火を強める千弦。


「あー!地獄だぁぁぁぁ!」


「これは地獄の業火、もとい!千弦殿の怒りの火を沈める方が早いのではなかろうか!」


 煉獄の業火(コンロの火力アップ)に絶叫する晴葵や、舞を踊ろうとする匡也。


「そんなことしてたら肉団子になっちゃうよ!ほぐしてほぐして!」


 慌てる幸大や文菜、小弓。


 そんな様子を見て千弦はクスッと笑う。


「ど、どうかしましたか!千弦大明神様ああああ!」


 晴葵が半分肉団子と化している塊を解体しながら尋ねる。


「ふふ、いえ。なんだか楽しいなと思っただけよ」


 本当におかしそうに千弦は笑う。


 それは本当に楽しそうで。


 晴葵達は顔を見合わせて笑ったのだった。


「ふふふ。さて、何をグズグズしているの、肉をほぐす手が止まっているわよ」


 そう言って、ほぐれたおいしそうな色の肉を三枚つまみ、自分の器の卵につけて口に運ぶ千弦。


「あああああああ、肉うううううう!」


「まさかの三枚食べ!?」


「おそろしき!天魔千弦殿!」


「わお、だいたーん」


「千弦先輩、すごーい!」


 やいのやいの騒ぐ五人。


「ふふ、やっぱりおいしいわ」


 千弦が幸せそうに笑ったのだった。

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