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45話 月は満ち、太陽は丸く昇る

「晴葵先輩!」


「晴葵先輩、開けて!」


「晴葵よ、早まるでない!」


「バカな事考えてたら許さないわよ!」


「開けてくれ、晴葵!」


 全員が家のドアを叩いたり、インターホンを鳴らす。


「くっ、やむを得ん。居酒屋の中から上に繋がる扉を開けて入ろうぞ!」


「そ、そうか!」


 全員が慌てて居酒屋に入る。


 午前中だというのにお客さんの姿もチラホラと見える。


「ど、どうしたんだい!」


 慌てて入ってくる五人を心配する女将さん。


 五人はすぐさま、厨房に入り上へと繋がる扉を開ける。


 階段を登り、二階から順に開けて行く。


 そして、五階の扉にカギがかかっている。


「晴葵!開けて!」


「晴葵先輩!」


「晴葵先輩、一人で無茶しないで!」


「開けなさい、晴葵!」


「晴葵よ。一人で行こうなど拙者が許さぬぞ!」


 ドンドンと扉を叩く五人。


 そして、カチャリと扉が開かれる。


「はいよー……って君らか!」


 晴葵が五人の顔を確認すると慌てて閉めようとする。


 が、一瞬開いたドアに文菜は手をかけて勢いよく開く。


 するとそこには……。


「あ……」


「これは……」


「まさか……」


「これって……」


「すごーい!」


 小弓が叫ぶ。


 いつもはガランとして部屋の端に匡也の改造品達が置かれている五階。


 それが今は部屋中に飾り付けがされており、窓には大きな幕に『無敵の六人結成パーティー』とデカデカと書かれていた。


 幕の下には『ようこそ!そしてよろしく!』と筆で書かれている。


「あちゃー……バレちゃったか……」


 ヤレヤレと照れくさそうに後ろ髪をかく晴葵。


「晴葵先輩、これって……?」


 いまいち現状を理解出来ていない五人を代表して文菜が尋ねる。


「いやー、みんなには迷惑かなと思ったんだが、せっかく六人も仲間が揃ったんだし、何か記念に残ることがしたいなと思ってね。サプライズにしたかったんだが……あはは、バレてしまった」


 恥ずかしそうに笑う晴葵。


 そんな彼を見て全員が涙ぐむ。


「え!い、いや、泣くほど嫌なら無理しなくていいぞ!?せ、せめて記念撮影くらいはしたいが……ぐお!」


 慌てる晴葵に文菜と小弓、匡也が飛びつく。


「嫌なわけないじゃないですか!」


「し、心配したよぉー」


「拙者、寿命が縮まったでござるー!」


 叫ぶ文菜と泣きじゃくる小弓に匡也。


「え、心配?俺は家にいるって言ったと思うけど……?」


「だからよ。一人で残ったから……また、あの『閉鎖空間』に向かったんじゃないかと……思って……心配したんだから!」


 顔や目を真っ赤にして千弦が叫ぶ。


「あぁ……そうだったのか。悪いねぇ、心配かけて」


 文菜と小弓の頭をポンポンと撫でる晴葵。


 晴葵のシャツを鼻水とヨダレだらけにしている匡也はスルー。


「匡也や幸大。千弦にも心配かけたね。でも、俺は幸せ者だ。ありがとう」


 ニコッと笑う晴葵。


「……べ、別に……仲間なんでしょ!心配くらい、いくらでもしてやるわよ!」


 そして、チョコチョコと近づいて、晴葵の肩に頭を当てる千弦。


「だから……もう私を、私達の心を『孤独』にさせないで。六人で『無敵』なんでしょ……一人でも欠けたら……ダメなのよ」


 そこまで言って限界に達したのか泣き出す千弦。


「……ありがとう。今回は反省として髪の匂いを嗅ぐのはやめておくよ」


 女子達、とついでに腹にしがみついている匡也を抱きしめて笑う晴葵。


「本当によかった……」


 その様子を見て幸大も涙を流す。


「一人でも欠けたらダメらしいよ。幸大もおいで」


 そう言って右手を差し出す晴葵。


「……本当に……カッコイイなぁ」


 晴葵の手を握って泣き出す幸大。


 全員が晴葵の無事を心から喜ぶ。


 晴葵は五人が泣き止むまで、ずっと抱きしめていた。

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