4話 差なんて無い
こうして夜まで散々遊んだ五人。
「おっと、もう夜か」
メガネを外した晴葵が全員に呼びかける。
「おーい、全員終了だ」
「あ、了解」
幸大もメガネを外す。
「えー!もうちょっと!」
「私もまだ100体斬り達成してない!」
「ふおおおおおおお!拙者の必殺!高速!回転!斬りイイイイイイイ!」
ぐるぐると回転して腕を振る匡也。
「ほい、終了」
匡也に足払いをかける晴葵。
「おぴょ!」
ドシンと尻餅をつく匡也。
「全員、晩御飯を食べに行こう」
晴葵が『パンドラボックス』に『ディアルワールド』体験セット一式を片付ける。
「明日も遊ばせてくださいよー」
「私、赤色予約します!」
「ふふふ、我らは真の友情を極めし友。予約などせずともくれてやる」
匡也がシャキンと決めポーズを取る。
そして毎回ポーズが違う。
「楽しかったよ。明日が楽しみだ」
幸大が晴葵に言う。
「なんなら、家に持って帰るかい?」
五人はルームシェアをしているため、帰る場所は同じだ。
「それがいいぞ、晴葵!そうすれば真夜中までフィイイイイイイバアアアアアだ!」
匡也が両手を広げて叫ぶ。
「んじゃ、各自自己管理ってことで。絶対壊さないように」
「「はーい!」」
全員が大事そうにいそいそとポケットにしまう。
これは作ってよかったなと晴葵は匡也と顔を見合わせて笑う。
文菜も小弓と『デュアルワールド』について話している。
その様子をとても楽しそうに一歩後ろで見ている幸大。
「幸大先輩、なんで後ろでポケーっとしてるんですか?」
「まったく、俺ら五人は横一列でこそだろう」
「そうだぞ、通行人の邪魔になることも承知で横一列五人。対等な関係であることを忘れたか!」
「置いてっちゃいますよー?」
全員が幸大に呼びかける。
通信制に来る者は少なからず人と上手くいかない者が多い。
その中でこの関係は幸大にとってとても幸せなものであった。
その輪の端っこでも居れることが嬉しかった。
しかし、それどころか、みんなは自分達と対等だと言ってくれる。
全員が個性の強い人達だけど。
それでも、幸大にとって大切な……。
「……はい!」
幸大は急いで四人に並ぶ。
「んじゃ、今日はフードコートで食べようか。何がいい?」
幸大の肩に手を回して晴葵はみんなに尋ねたのだった。
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