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34話 友人と仲間の違い

「けど、悪いけど私が一人暮らしを始めるまで学校へは中々来れないわよ。今年の後半からの転入だから。家が遠いのよ、だから一人暮らしできる所を探さないと」


 千弦がポツリと言う。


「一人暮らし……?」


「探している……?」


 晴葵と匡也の瞳が怪しく輝く。


「さぁ!そんなあなたに、今日オススメするのは学校、駅、その両方の間にある五階建ての家の紹介だ!」


 晴葵がどこぞのテレビ通販のように話し出す。


「学校と駅の中間!それは便利ね!けど、そんな所高いのではないかしら……」


 不安そうに尋ねる千弦。


「安心したまえ!そこはとある人物の祖父が所有するビル。だから家賃も都合してくれるさ!」


 HAHAHAと笑いだしそうな晴葵。


「ほ、本当に?」


「まあ、正しく言えば俺の祖父のビルなのさ。俺達五人はそこでルームシェアしてるんだ。リビングは共用だけど、男子と女子の部屋は三階と四階でわかれてるし、シャワーとトイレは別で付いてるから安心してくれていい」


 千弦はかなり迷っているようだ。


 こう見えて実はかなり謙虚なのかもしれない。


 そして。


「ほ、本当にいいの?」


「あぁ。千弦がよければね」


 頷く晴葵。


「じゃ、じゃあお願いするわ。よ、よろしく」


 頭を下げる千弦。


「オッケー。こっちも伝えとくよ」


 晴葵が電話で祖父に連絡を入れる。


「私は車で待ってる母親に伝えてくるわ」


「りょーかーい!」


「いってらっしゃーい!」


 千弦を見送る文菜と小弓。


 そして、その後。


 千弦も母親に許可をもらい、六人は一緒に帰ることになった。


 服などは届けてくれるらしい。


 千弦いわく、母親はかなり喜んだと言う。


 友人が出来て良かったわね、と。


「まあ、私に友人が出来るなんて思ってなかったのでしょうね」


 素っ気なく言う千弦。


「友人じゃないさ、千弦。友人というのは『ただ話す相手』でもオッケーだ」


「え?」


「俺達は信頼し合う『仲間』だ。だから、遠慮なんてしなくていいんだよ」


「まあ、細かい違いだけどね」と呑気に笑う晴葵。


「……バカね」


 下を向いて呟く千弦。


 しかし、その顔を彼女の人生の中で最も綺麗な、心からの笑顔だった。

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