3話 『デュアルワールド』
「なにこれ。くれるのー?」
文菜がスライド式の白いガラケーをいじり始める。
「それぞれ、好きなのをどうぞ」
晴葵が黒のスライド式ガラケーを持ちながら声をかける。
「私、折り畳みがいいなー。あのパカパカ楽しいよね」
小弓が嬉しそうに赤色の折り畳み携帯を持つ。
「拙者は回転式のガラケーをチョオオオオオオイス!」
ディスプレイ部分が回転するタイプの黄色いガラケーを選ぶ匡也。
「じゃあ、僕もこの普通の折り畳み式で」
緑色の折り畳み式ガラケーを手に取る幸大。
「全員行き渡ったかな?んじゃ起動させて」
全員が電源ボタンを長押しする。
「なにこれ。『デュアルワールド』?」
画面に表示された言葉を読む文菜。
「ふふふ、その通り!拙者と晴葵で完成させた最高にして最強の最新ゲームだ!」
「なになに、面白そう!」
小弓がワクワクした様子で尋ねてくる。
「んで、ほい」
度の入っていないメガネを全員に渡す晴葵。
「メガネをかけてシャープボタンを長押ししてくれ。それでガラケーとメガネを赤外線で接続する初期設定が終わる」
指示通り幸大もメガネをかけて、ガラケーを操作する。
すると、メガネのガラスに文字が映る。
『WELCOME』、と。
「なにこれ!先輩すごい!」
文菜が喜ぶ。
「ふふふ、すごいのはそれだけじゃない。全員シャープのボタンを押してくれ。押したらガラケーを閉じて利き手で握る」
晴葵の言葉に匡也が例を見せる。
全員がそのようにすると。
目の前にスライムのようなモンスターが現れ、黒い体力ゲージが表示される。
「な、なんか出たよ!」
小弓が慌てる。
「大丈夫。落ち着いてガラケーを持った手をモンスターに向かって振るんだ」
「う、うん。えい!」
腕を振る小弓。
するとスライムが一刀両断されて消える。
「まるで現実世界で自分が戦っているように体験が出来る。それが!」
「デュアルワアアアアアアアルドゥ!」
匡也が恒例の決めポーズをとる。
「もちろん、間違えて人は殴らないように注意。まぁ、メガネに映像を投影してるだけだから、ちゃんと俺達の姿も見えているし、気をつければ大丈夫だろう。さあ、次は米印ボタンを長押ししてくれ」
全員がボタンを押す。
「あれ?さっきと変わりないみたいだけど?」
幸大が質問する。
「甘いな。今は各自、別々の位置に敵が表示されていた。今度は敵の位置は共有されている!みんなが同じ一つの拡張現実を見ている!ゲームの世界を共有しているのだ!」
「つまり協力プレイ?」
「そう。さぁ、存分に楽しもうじゃないか!」
こうして晴葵の締めくくりで全員が『デュアルワールド』を満喫し始めたのだった。
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