27話 君との出会い〜匡也編2〜
「な、なな……」
愕然とする匡也。
「いたた、これは唇を切ったね。冷やさないと」
のそのそと、こちらに歩いてくる晴葵。
「な、ななな……」
こちらに歩いてくるのに、あまりの衝撃で動けない匡也。
他の生徒は匡也以上に晴葵から距離をとる。
そして、ドアの前で立つ匡也の前に晴葵が来る。
「おや、君も新入生かい?入学おめでとう。しかし、悪いんだがね。ちょっとトイレに行きたいんだ。そこをどいてもらえるかな?」
口から血を流しながら爽やかに笑みを向けてくる晴葵。
「あ、す、すまぬ……」
カクカクと怪しい動きで道を開ける匡也。
「悪いね。いたた……」
のそのそと教室を出ていく晴葵。
その背中を匡也は呆然と見送っていた。
そして、無事に入学式が終わり。
親は一旦帰宅。
新入生は残って、在校生に自己紹介となった。
新入生達の各自無難な自己紹介が続き、匡也の番になる。
勢いよく立ち上がる匡也。
「天界より遣われし、最後の希望!拙者は黄三匡也!これよりこの学園は拙者の加護を授けた!その名もスウウウウウウウパアアアアシイイイイイイルドゥウウウウウ!」
バッと両手を天に広げる。
全員が引いたのがよくわかる。
しかし。
「おぉ、いいねぇ。けど、『スーパーシールド』は頂けないな。訳すと『超防護』だろう?もっと神聖な名前の方がいいと思うんだ。そうだねぇ……『聖なる壁』という意味で『ホーリーウォール』とかね」
匡也と同じくキメ顔で笑う晴葵。
匡也は再び衝撃を味わった。
自分についてこれる者がいる。
それも、バカにするのではない。
純粋に楽しんで、真剣に提案してくる。
「な、なるほど……心得ておこう」
慌てて頷く匡也。
二人以外はドン引きの様子だった。
「じゃ、じゃあ、次は在校生の自己紹介に移りましょう」
女の先生が慌てて次のコーナーに移る。
「じゃあ、最初に晴葵くん」
なるほど、あの男の名前は晴葵というのか。
匡也はなんとも言えぬ期待にも近い気持ちで心のメモに刻む。
「はじめまして、黒一晴葵です。今年高二です。仲良くしてください。そして、女子の皆さんは下着の色を教えてください」
新入生全員に電撃が走る。
在校生たちは死んだ魚の目で虚空を見ている。
「み、みんな誤解しないでね。ジョークだから。おじさんジョークよ。ね?」
慌てて弁明する女の先生の言葉で落ち着きを取り戻していく新入生たち。
「いえ、至って本気ですが?」
平然と呟く晴葵。
「あー、あー、聞こえない!晴葵くん。ありがとうございました!じゃあ、次の方!」
慌てて進行を進める女の先生。
匡也は、そんな晴葵を驚きと期待の眼差しで見ていた。
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