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23話 君との出会い〜小弓編5〜

 自身の心に負った傷の話をする文菜。


 その話を驚いたように聞く小弓。


「だから、私は今でも女子が怖い。小弓のことも……怖い」


 震える手で話す文菜。


「でも、でもね。ある人が言ってくれたの。いつか『本当の』女友達が出来たらいいなって。祈ってるって。だから、私は後悔したくない。今度こそ、つらいものはつらいって。私は友達だと思ってたって。信じてたって。ちゃんと正面からぶつかるって決めたから。それが晴葵先輩の隣に立つための私の覚悟だから」


 ぎゅっと小弓の手を握る文菜。


「私は小弓のこと友達だって思ってる。友達になりたいって思ってる。だから、小弓に嫌われたって言う。小弓の歌、大好きだよ。小弓の歌で悪いことなんて起きない。起こさせない。だから、『好き』を『嫌い』になっちゃだめだよ……」


 それは酷く稚拙な言葉だった。


 まだまだ、青二才、大人からはそう言われるだろう言葉であったが、小弓の心にはちゃんと届いていた。


「私……歌が好き。歌で……みんなを元気にするんだもん……!」


 ぎゅっと文菜に抱きつく小弓。


「うん……うん!私だって、小弓が心から親友って思ってくれるまで頑張ってみせる」


 人の居ない校舎裏で泣き合う二人。


「うっ、ぐす。よ、よかったでござるなぁ……拙者、思わず……ううう」


 校舎の陰に隠れて話を聞いていた晴葵と匡也。


 匡也に至っては顔面鼻水だらけで泣いている。


「……あの二人は、いい相棒になりそうだね」


 ふっと晴葵が空に向かって笑った。



 あれから、小弓は文菜の紹介で晴葵達のグループに入った。


 四人目の仲間に晴葵達も大いに盛り上がったのを覚えている。


「ん……」


 目が覚める晴葵。


「あ、おはようございまーす!晴葵先輩!」


 小弓が元気に挨拶をしてくる。


「ふふふ、晴葵よ。お主が一番最後であるぞ」


 匡也が朝食のベーコンをおかわりしている。


「はい、晴葵先輩の分!」


 コトンと文菜が晴葵の前に朝食を置く。


「晴葵、おはよう」


 洗顔から戻ってきた幸大が晴葵に手を上げる。


「……そういえば、幸大が仲間になった時は大変だったねぇ」


「ん?あぁ、そうだね」


 幸大もあははとから笑いする。


「まさに地獄でござった」


「そうそう、テスト地獄ね」


「でも、そのおかげで幸大先輩が仲間入りしたんだよねー!」


 ニコニコと笑う小弓。


 そう、幸大と会ったのは五月の始め。


 中間テストに向けた勉強期間の時だった。

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