18話 君との出会い〜文菜編5〜
頷く晴葵。
「私……中学の時、友達だった女子がいるんですよ」
屋上遊園地のベンチに座る晴葵と文菜。
「ほほう」
「その子とは親友だと思ってたんです」
友達だった。
と思っていた。
先程からすべてが過去形。
おそらく、いい話ではないだろう。
「……それで?」
優しく晴葵が続きを促す。
「元々、男子と話す方が気楽だったんですけど。その子だけは別で。けど、ある日私が登校するとみんなが私を見てコソコソ指さすんです。キモいとか、尻軽女とか……」
「もしかして、それを広めたのって……」
文菜が涙目で頷く。
「……親友と思っていた子でした。彼女が好きだった男子と私が仲良かったのが原因でした。結局、女子の絆なんてそんな程度なんです」
寂しそうに話す文菜。
そんな話を晴葵は黙って聞いていた。
そして、静かに文菜の頭に手を置く。
「……そっか。なら、いつか君に『本当の』女友達が出来ることを……俺は祈ってるよ」
晴葵はニコニコと笑っている。
あぁ、やっぱりだ。
彼は他の男子とは少し、いやかなり違う。
呑気で適当でお気楽で。
けど、真剣で純粋で優しくて。
そしてちょっとの変態。
文菜は晴葵の不思議な魅力に惹き付けられていた。
「晴葵先輩……私、頑張ります。いつか、もし本当に信頼できる女友達が出来たら、紹介しますね。だから、しっかり私を見ててください」
肩の荷が降りたように涙目で笑う文菜。
「あぁ、楽しみだね。そしてようこそ。『最高の集まりへ』」
照れくさそうに笑う晴葵。
「せん……ぱい……」
これまでのつらさと、あまりの嬉しさで晴葵にしがみついて泣く文菜。
そして、彼女が泣き止むまで晴葵は文菜の頭を撫で続けていたのだった。
そして、それ以来ヤンキー女子達が文菜にちょっかいを出すことはなくなった。
晴葵の脅しもあるが、『キレると何するかわかんないド変態な奴』という印象を持たれたからだ。
そして白四文菜は、黒一晴葵、黄三匡也に続く、三人目の仲間になったのだった。
そして、現在。
「……美少女に頼まれたら断れないねぇ」
「え?」
相変わらずの呑気なおっさん臭い話し方で文菜の涙を拭い、お姫様抱っこしてソファーに乗せる晴葵。
そして、自分もソファーに寝転がる。
「晴葵せーんぱい」
文菜は嬉しそうにひっついてくる。
「これは俺も幸大のこと言えないな……」
ヤレヤレとため息を吐く晴葵。
しかし、そのため息の割に嫌そうではない。
もちろん、女子と一緒の布団という嬉しさもある。
こんな美少女に好意を持たれている喜びもある。
しかし、何より嬉しいのは、文菜が仲間たち、特に小弓と『親友』と言えるほど仲がいいことだ。
もちろん無理をしているところもあるだろう。
お互い遠慮していることもあるだろう。
しかし、それでも文菜が一歩前へ進んでいることが晴葵は非常に嬉しかった。
晴葵は向かいのソファーで気持ちよさそうに眠る小弓を見る。
そして、眠りに落ちていくと同時に、小弓との出会いを思い出していた。
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