17話 君との出会い〜文菜編4〜
『ならふぁ』の屋上遊園地の端。
「男に色目使って調子のんなよ?」
「ぶりっ子とかキモいわ」
「オタク共にチヤホヤされて喜んでんじゃねーよ」
文菜を囲って多対一で責める女子達。
文菜はぎゅっと唇をかみしめて黙ったままだ。
「なんとか言えよ!」
一人の女子が文菜を突き飛ばす。
「きゃ!」
尻もちをつく文菜。
その瞳には悔し涙が溜まっている。
しかし、その涙でさえも周りの女子の怒りを増幅せる原因にしかならない。
「泣けば何でも許されると思ってんじゃねーよ!」
「やっぱり嫌い……女は、嫌い……」
悲しそうに呟く文菜。
「うっざいんだよ!」
一人の女子が蹴り飛ばそうとした時。
「はいはーい。ストップ」
なんとも呑気な声が現れたのだった。
屋上から建物内へ繋がるドアの前で晴葵が立っている。
「んだよ……」
「アイツ、さっきの男子だ」
「やば、アイツ二年だよ」
「なに、アンタの彼氏?」
一人の女子の質問に文菜がブンブンと無言で首を振る。
「彼氏じゃねーなら、関係ないだろ。部外者は引っ込んでろよ!」
そうだそうだ、と騒ぎ立てる女子達。
「ヤレヤレ……それを言うなら、多対一は卑怯でしょ?」
ため息混じりに指摘する晴葵。
「うっせんだよ!」
「おぉ、怖い。逆ギレかな?」
相変わらず呑気な晴葵である。
「マジで上でも関係ない。ぶっ飛ばすぞ!」
そんな脅しに対して晴葵の反応は。
「あらら、怖いねぇ。けど、いいのかな?俺にそんな挑発して」
ため息と共にゆらりと構える晴葵。
「古武術って知ってるかな?古い武術と書くんだけどね。その初段。いわゆる『段持ち』。さらに、反則技ギリギリでばかり勝利してると言えば……ケンカ慣れしてる君たちなら意味が分かるだろう?」
不気味にニヤリと笑う晴葵。
「な、なんだよ……」
「ヤバいって。武術経験者はシャレになんないって!」
慌てる女子達。
「さて……ボッコボコにしたあと、脇の下をクンクンさせてもらおうか!」
ぐわっ!と叫んで走ってくる晴葵。
女子達は涙目で退散していく。
ポツンと残された文菜。
「まったく。クンクンくらいさせてくれてもいいものを……大丈夫かい?」
先程までの気持ち悪いを体現したような態度とは打って変わって、爽やかに文菜に手を差し出す晴葵。
「ど、どうして……」
「ん?あー……えっと。散歩してたら見つけてね」
慌てて明らかな嘘をつく晴葵。
その様子を見て、文菜は立ち上がって小さく笑う。
「ありがとうございます」
「ん……失礼だとは思うけど、普段の笑顔の方が魅力的だよ」
晴葵の言葉に驚く文菜。
そしてポツリと話し出す。
「……もしよかったら、話を聞いてくれますか?」
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