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Re:hit  作者: かぼちゃプリン
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廃部は突然に♡

高校生活が始まり、はや3日。つまらないオリエンテーリングを終了した俺たち1年は青春のために走り出す。第3の青春ポイント。部活。ちなみに第1が入学式前の席の奴が登校中の電車で隣だったやつというベタな設定はカスることもなく終了。そして第2の登校中の食パン咥えた女の子とぶつかる奴!そもそも家の近くに人が住んでない。


ということでこれは第3だが実質第1。これを逃せば後がない!!

そして俺は中学にはなかった軽音部の扉を開いた。俺、城本章きもと あきらは小さいころに見たバンドのLIVEを見てからギターを始めた。うまいと自惚れるほどではないが、きっと即戦力になれる。そんな気持ちで開いた扉の向こうは段ボールの山だった。


「おう。一年か?ごめんな。軽音学部今年からなくなるんよ。他当たって~」


聞き間違いだろうか。今年からなくなった?何を言ってるんだ…。そんなこと一度も誰も言ってなかったけど…。


「ごめんね。2年生の入部誰もいなくて、3年生の私達しかいないんだけど、とある事件があって軽音学部廃部になっちゃったんだよね。まぁそもそも無いようであった部活だから仕方ないんだけど」もう一人いた女の先輩が追い打ちをかけに来た。


なんも言えねぇとはこういうことを言うのだと俺は確信した。ほう。なんか言葉をだそうとも出せん。


「あぁ…て、手伝いますよ。」


俺は遠慮する言葉とは真逆に手招きされる方へ向かい機材を段ボールに詰める作業をした。そこには知らない機材がたくさんある。


「城本はギターやるんか?」


一番初めに話しかけてきた男の先輩が尋ねてきた。


「そうっすね。」

「憧れのギターリストは?」

「world cryのカイトさんですね」

「あんまり知らないなぁ…」

「結構マイナーで、コアなファンが多いんすよ」

「ちょっとさ、弾いてよ。ギターあるし」

「あ、俺持ってます」


おれは自前のレスポールタイプのをギターケースから取り出した。


「それ結構安い奴なんじゃないか?」

男の先輩がにやけているが、これはピックアップを変えてカスタムしている。ほかにもボリュームポットやトーンコンデンサーもいじっている。音はただものではない。しかし安いのは正解。


俺はチューニングを軽く済ませ段ボールに詰めていなかったアンプにギターを刺した。


「なんか弾いてはあれだなぁ。好きなバンドの曲弾いてよ」


world cryのリードギターのカイトはとてもかっこいいギターリストだ。結構有名なバンドではあるが今世代の高校生はほとんど聴かない。弾けばなんとなく聞いたことある程度だろう。


俺はアンプのgainを上げイコライザーを上げ下げし今から弾く曲の原曲に近い音作りをする。エフェクターを使えばいいが持ってこなかった。

一通り終わり男の先輩に目で合図したら女の先輩も近くに来てくれた。


「じゃあ、world cryで オシリス」

と曲名を言ったのちにギターをかき鳴らした。


オシリスは耳に残るリフがイントロ、Aメロ、Bメロ、サビまで続き、ギターソロで大きく飛躍するまさにギターロックである。

LIVEで観たカイトの姿を思い出しながらギターを鳴らし続け、アウトロ。弾き終わり天井を見上げた時にはそこはライブ会場のような熱気が俺を包んでいた。

まだ襟の固いワイシャツに汗が滲む。まだ4月だが曲を演奏すると興奮して体が熱くなる。カイトみたいになりたい。人を魅了するギターリストに…。


「城本!城本!!」

先輩の声が聞こえて気づいた。そうだ。人に披露してたんだ。


「すみません!いかがでしたか?」

そう聞いたときにはそこにギターを持った男の先輩とドラムのスネアを段ボールから取り出す女の先輩の姿があった。


「軽音部の葬式LIVEしてなかったからな。城本のギター姿見てたら俺らも感化されちまった」

男の先輩はオシリスのバッキングコードを調べはじめ少し進行を確かめた後音作りを始めた。


「ドラム適当にいれるけど、キメるところだけなんとなく教えてくれる?」

女の先輩はセットを組み立て軽くチューニングを済ませる。

俺はオシリスのギターソロのドラムの説明をしたのち男の先輩の音作りを手伝った。


これが初セッションだった。


それは今までの感動とは違う海斗に近づけている達成感とは違う。まるで宇宙だった。


バッキングギターに乗せるリードギター。そのベースにドラムがある。心地が良い。このまま死んでもいい。そんな気持ちだった。気づけば3人で歌いながら演奏を始め1曲を10回は演奏しただろうか硬かったワイシャツの襟はもう擦れ始めていた。


「もったいねぇな。この機材学校の2階の機材倉庫に置いとくからよ、好きに使えや。」

そういって男の先輩は俺に機材倉庫の場所を教えてくれた。


「私たちは別々で学校外でバンドを組んでるんだけど章くんもバンド組んだほうがいいわ。バンド仲間にギターリスト欲しいところ紹介してもらおうか?」

女の先輩からは連絡先を手に入れしれっと青春ポイント第4をクリア(先輩の連絡先をゲット)した。


「別々なバンドでやってるんですか?」

俺は先輩に尋ねた。息ぴったりの演奏は同じバンドだったからだと思っていたがどうやら違うらしい。


「学校では2回くらいバンド組んでるかなぁ」

「アスナのドラム俺のいきたいテンポよりちょっと遅いんだよなぁ」

そんな話を横で聞きながらふと黒板を見た。訪問者3名

「あの、何の訪問者ですか?」

「廃部が決まってから来た1年のロックキッズたちの数だよ軽音以外の部活で活躍できますようにとこの黒板に書いてるんだ」


2名来てたんだ…。ってか3名だけなの?軽音志望!?


もっと多いものだと思っていた。もっとロックに目覚めてるものだと…。


「自己紹介最後になって悪かったけど俺は桜庭洋平。3年生な。こいつが今村樹。学園祭とかバンドやるようならいってくれよ。受験で忙しいからプレイはできないけど見には行くからよ。なんかあったら相談しに来いよ城本」

男の先輩の桜庭さんはそう言ってギターを片づけ始めた。いつきさんはもうすでにドラムを段ボールに詰め始めていた。


「なんか初めてのセッションだったんですけど…すごく気持ちよかったです」

「初めてって何でも気持ちいいよね」


俺が言った言葉にいつきさんがいやらしく返答した。そういうの嫌いじゃないけど、女の人ってそんなノリで来るんだ。さすがは高校生。


「またなんかバンドメンバーから連絡来たら章君にもすぐ連絡するよ!お互いイイバンドを目指そうね」

「対バンであったりするかもなw」

そう言って二人は片づけの続きを始めた。俺もギターをしまい、二人の手伝いをするのだった。



そして。


部室はきれいになり、もぬけの殻となった教室から出て行った。黒板に書かれた俺を含む3人の名前は残したまま。



後がありませんでした。

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