特殊性癖な王子様
「おはよう、咲!」
「……おはよう、克己」
私の名前は範馬咲、高校二年生。 朝っぱらから話かけてきたのは、越智克己。 お隣さんで同じ桜蘭高校に通う、いわゆる幼馴染。 やや長めの茶髪に、茶色い瞳の精悍な美男子……入学当時は王子様と呼ばれていた。 それが今では……。
「おっ! 変態王子! おはよう!」
「アナプリ、おはよう!」
「ようアナプリ! 今日も変態か?」
そう、今では残念な呼び名が定着している。 ちなみにアナプリとは、ア〇ルプリンスの略称。 それというのも……。
「なあ咲、そろそろア〇ルでやらせてくれよ! 一回でいいからさ!」
「私は絶対にそんな事しない! 大体あんたとはそういう関係じゃない! ただの幼馴染! あんたのせいで、私まで変な目で見られるんだから! いい加減にしてよね!」
朝から血管が切れそうだ。 なんでこいつは……昔は本当に好きだったのに。 いつかこいつと結婚するって、本気で思っていた自分を殴りたい。
あれは高校に入学してすぐの事だった。 うちの両親が泊まりで旅行に出かけたので、私は嬉々として克己を家に呼んだ。 もちろんその気はあった。 ムダ毛の処理も完璧にして、下着だって新品のお気に入りのを着けた。 先に寝ると言って部屋に戻ったけど、いつ克己がくるのかドキドキしながら待っていた。
克己が部屋に入って来た時、私は緊張のあまり寝たふりをしてしまった。 王子様が寝ている私に、優しくキスをして愛の告白。 そして二人は結ばれる……なんてことを妄想しながら、ドキドキしながら目を瞑っていたのだ。
克己は部屋に入ってくると、紙袋の様な物をガサガサと開けた。 何? 何の音なの? なんて思っていたら、今度はビニールを開ける様な音。 え? ……ゴム? いきなりそんなの用意するとかムード無さすぎじゃない? そんな風に思っていたら、克己は私のパジャマの下を下着ごとぐいっと下した。
ちょっと待って! いきなりそれは無いでしょ! 私はパニック状態で起き上がろうとしたが、その瞬間に……お尻に何かが入ってきた。 叫んだ。 私は叫んで飛び起きた。 克己を見ると、手には……イチジク浣腸。
私は克己の顔面を思い切り蹴とばし、トイレに駆け込んだ。 泣いた。 あれほど泣いたのは生まれて初めてだったと思う。 用を足して部屋に戻ると、克己はこう言ったのだ。
「あっ! 済んだ? 俺ア〇ルでしてみたかったんだよね! でも綺麗にしないとダメだって言うからさ! もう何本か入れた後、シャワーで」
そこまで聞いたところで、私は近くにあった椅子で克己を殴打し、家から追い出した。 しばらくは顔も合わせない様にしたかったのだが、クラスが一緒なので毎日顔を合わせる事になった。 克己と同じクラスになった事を、神様に感謝していたのに。 それが裏目になるとは……。 神様本当に恨みます。
克己は毎日謝ってきた。 謝って来たのだが……。 クラスメイトの居る中で、あんな事を言われてはたまったものではなかった。
「ごめん、咲! どうしてもア〇ルでしてみたかったんだよ!」
「俺、ア〇ルじゃないと勃たないんだ!」
「咲の事、本当に好きだから! お願いだからア〇ルでやらせてください!」
最後は土下座までされたが、絶対に許さない。 私のこの怒りは決して収まる事は無いだろう。 そして克己に付いたあだ名が【ア〇ルプリンス】という訳だ。
克己は学校で一番のイケメンだ。 だがその変態っぷりにより、誰も告白しない。 当たり前だ。 克己と付き合うという事は、私はア〇ルでする女ですと言ってる様な物だから。 何人かの女子が付き合おうと試みた事はあったが、結局噂されるのに耐えきれずに諦めた。 そういう訳で、克己と付き合えるのは校外の女性のみに限定されている。 だが克己の性癖が分かると離れていく為、まだ彼女は居ない様だ。 だからと言って、私に言い寄ってくるな! 何度でも言う。 私は絶対に許さない!
克己のせいで私まで変な噂が流れたが、ひたすら否定し続けたおかげか、今では私は克己に付きまとわれて困っている可哀想な幼馴染というポジションに収まった。 私も容姿はそれほど悪くはない。 ……というか良い方だと思う。 自分で言うのはなんだけど。
今はとにかく新しい恋を探している。 次は絶対にまともな人!
今気になっているのは、同じクラスの伊尾烈火くん。 克己が残念王子ポジションに転落してから、校内人気ランキングでは男子トップのイケメンだ。 ……うん、私って面食いだね。 成績は常にトップで、黒髪に同じ色の瞳。 クール系眼鏡男子の名を欲しいままにしている。 何故か克己と仲がいい為か、私もちょくちょく会話をしている。 他の女子とはあまり話さないので、それだけは克己に感謝。
「おっはよう! 伊尾」
「越智か、おはよう」
「おはよう、伊尾くん」
「ああ範馬さんも、おはよう」
伊尾くんに挨拶しちゃった♪ 今日も一日良い事ありそう!
「ところで、昨日の告白はどうなったん?」
何? 告白!?
「ああ、B組の子だったよ。知らない子だったし断った」
「誰よ? 誰なん?」
「あんまりそういう事を言いふらすのは、告白してくれた彼女に申し訳ないだろう」
「なんでよ! じゃあこっそり」
「君に言うと、全てが筒抜けになるから」
「いやいや、俺口堅いよ?」
「……性癖が全校生徒にバレてる奴が、言うセリフじゃないだろう」
全くもってその通り! でも私も気になる! 誰なの?!
「あの、伊尾くん。誰かはともかく、断っちゃったの?」
「ああ、話もした事無い子だったからね。」
えっ! 話もした事ないって……伊尾くんと話してる女子って、私くらいしか居ないのに! これって私の事好きって言ってる?
「えっと……話した事ある子なら付き合うの?」
「どうだろうね? そういえば僕は女子と、あまり話をした事がないな」
「う、うん!」
「範馬さん」
伊尾くんが私を見つめてくる。 告白? これって告白なの? でも教室のこんなところでこのタイミング!?
「どうすれば女子と会話ができるかな?」
「へっ?」
あっ、変な声出ちゃった。 ……ですよねぇ。 告白なわけないですよねぇ。 というか話たい人は居るのか。 それって好きな人なのかな? あっ……ちょっと涙が。
「えっと、気になってる人が居るとか?」
周りで女子が物凄い聞き耳立ててる。 机物凄いガタガタいってるから。
「いや、このままだと彼女も作れないのかな? って少し冷静になったから。もっといろんな人と仲良くなっておいた方が良いかなって」
「か、彼女は欲しいんだね」
「そりゃあ僕だって健全な男子だからね」
「だったらとりあえず、告白された子と付き合えば良かったじゃないか」
うるさい克己黙れ。 というか死ね。 今すぐ屋上から飛び降りろ。
「うーん、とりあえず付き合うってのはなぁ。僕にはちょっと難しいかもしれない」
「そういうもんかね? 俺はア〇ルでやらせてくれる子なら、どんな子でもいいけどなぁ」
「克己、殴られたいの?」
とりあえず近くにあった椅子で二、三発殴る。
「痛いから! ほんとに椅子はヤバいから!」
「全く君たちはいつも元気だね」
ああ伊尾くんの笑顔はホントに素敵! この笑顔を見る為ならもう五、六発殴ってもいいよね?
「死ぬから! ほんとに死ぬから!」
「範馬さん、あんまりやるとホントに死ぬよ」
伊尾くんが言うなら止めます! こいつは死んでも良いけど、私が殺人者になるのは困るし。
「でもさあ……俺、最近思うんだよね」
「なんだい?」
あれ? 克己が真面目な表情なんて珍しい。
「これだけア〇ルが好きなら、男でもいいんじゃないかって」
「死ねえええええええええええええ」
「ストップストップ!」
ああ伊尾くんに抱きかかえられちゃった。 なんて良い匂い。
「越智、僕はそっちの趣味は無いからな。もし、そっちに目覚めたなら絶交だぞ」
「ああ、それは大丈夫だ。そっちに目覚めるにしても見た目は女の子じゃないとな」
「なんで私はこんな話を、聞かされなくちゃいけないの」
「それは僕もそう思うよ」
先生が教室に来たので、話はそこで終わった。
昼休みになったので、三人でお弁当を食べる。 今日は晴れてるから屋上。 イケメン二人に囲まれて、ご飯を食べるのはホントに幸せだ。 まあ一人は残念イケメンだけど。 見た目だけはホントに良いから困る。
「そういえばさっきの話だけど、女子と話すって」
「ああ……なんか休み時間毎に、女子がひたすら話しかけてきて怖かった」
「みんな話聞いてたからね。伊尾くんと仲良くなりたいって思ってる子はガンガンきちゃうよね」
「まあそう思ってくれるのは嬉しいんだけど。やっぱり女子と仲良くなるのは難しそうだなぁ」
「でも伊尾、誰か気になる人いるなら協力するぞ?」
「協力って……あんた女子に嫌われてるじゃない」
「俺は嫌われてても、伊尾と仲良くなれるって分かれば大丈夫だろ」
「それは相手も僕に気がある事が前提だな」
私的には他の女子とは、仲良くして欲しくないし。
「ほ、ほんとに気になる子とか居ないの?」
私とか。 私とか。 私がここに居ますよぉ!
「そうだなぁ……居ない事は無いかな」
「おっ! マジか! 誰、誰?」
「お、同じクラスの子?」
「うん、まあ同じクラスの子達だね」
……子達? 複数形? えっ? それってどういう事?
「なんだ? 好きな子一人じゃないのかよ」
「ああ、うん……好きってわけじゃなくて。気になってるっていうか」
「だ、誰ですか?」
「ええっと、なんか言う流れになってる?」
「なってるな」「なってるよ!」
ここまで聞いたらもう全部教えて! 私じゃないのは仕方ないにしても、聞いとかないと!
「じゃあ、うん……司馬さんと、華山さん」
「マジか!! よりによってあの二人か!」
「クラスでも一、二を争う美少女二人……伊尾くんって面食いなの?」
人の事は言えないけど! でもでもなんかショック! ……ちなみに私だって三位には食い込める自信はあるんだよ?
「面食いっていうか、うーん? でもそう言われるとそうなのかな?」
「容姿じゃないところに魅かれたとか、そういう事じゃないのなら面食いだろ」
「うーん、いや実際接点は無いからね。やっぱり容姿って事かな」
「でもあの二人タイプ全然違うよね? どっちが好みとか無いの?」
司馬千春さんは、可愛い系のふわふわ女子。 わた菓子みたいで食べちゃいたいなんて言われてるのを聞いた事がある。 性格も大人しいし、実は性格悪い! とかって感じはないから男子からの受けは凄い良い。 でも女子からは嫌われてるかな。 ……嫉妬だけどね。
華山香さんは、美人系のお嬢様。 性格はキツイ感じかな。 告白も結構されてるみたいだけど、全部かなり酷い振り方してる。 氷の女王なんて呼ばれてる。
女子からは嫌われてるから、いつも二人っきりで何か話してる。 私は別に彼女たちの事嫌ってないけど、仲良くしようとも思ってない。 ……そういえば私も、女子の友達居ないかも? いつも克己と伊尾くんと一緒だから、他の女子には嫌われてるんだ。
「どっちが好みっていうか……二人が仲良くしてるのが、気になるんだよ」
「うん? どういう事だ?」
「えっと、二人とも好きなの?」
「いや、そうじゃなくて」
どういう事なの? 二人が仲良くしてると気になる?
「つまり……二人がその、百合なのかなって」
「百合って……レズって事か?」
「れ、レズ?!」
「ああうん、なんでこんな話になっちゃったのかな」
私が聞きたいよ! えっ? なに? あの二人が百合で、付き合ってて? えっ?
「つまり伊尾は、百合でイチャイチャしてる女子が好きなのか?」
「う、うんそう……だな」
「ええええええええええええ!?」
ちょっと待って! ちょっと待って! なにがどうなってるのか、さっぱり理解できない!
「いやでもさ、それだと伊尾の入る余地なくないか? 実際に百合かどうかは置いといても」
「そうなんだよ。僕は百合が好きだけど、それだと僕は付き合えないんだ。そこに矛盾点を抱えているからね。僕はどうするべきなんだろうか?」
「なんで私の周りには、特殊な性癖の人しか居ないの!?」
「咲、最近はア〇ルなんて普通なんだぞ」
「うわあああああああああ! キレちまったよ! 屋上に行こうぜ!」
「落ち着いて! 範馬さん! ここ屋上だから!」
とりあえず克己を殴って少し落ち着いた。 でもなんでなの? どうして私ばっかりこんな仕打ちを受けるんですか!? 神様ホントに恨みます!
「えっと、なんで僕は自分の性癖を話したんだっけ?」
「ぐすんっ…… 気になってる人の話から、何故かそうなったよ」
「しかしホントに、どうするんだそれ?」
「ああホントに、どうするべきなんだろうね?」
「わかった……」
「うん? 咲何が分かったんだ?」
「私、百合になる!」
「はっ!?」「なんでっ!?」
もう伊尾くんより良い人は出てこない。 少し残念でも仕方ない。 克己よりは一億倍マシだ!
「私が、司馬さんと華山さんと付き合う! それで伊尾くんとも付き合う!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 意味がわからないよ!」
「俺にもさっぱりわからん」
「私は伊尾くんの事好きなの! だから伊尾くんと付き合いたい! でも伊尾くんは百合じゃないとダメなんでしょ? だから私は百合になる!」
「それは合ってるのか?」
「僕、今告白されたよね? なんかすごい複雑な告白なんだけど」
「告白したよ! ずっと伊尾くんの事好きだったよ! でも伊尾くんは百合じゃないとダメなんでしょ?」
「う、うん」
すっごい複雑そうな顔してるよ。 でも複雑なのは私の方だよ! 伊尾くんと付き合う為になんで百合に……あっでも、司馬さんと華山さんなら悪くないかもって思っちゃう自分がいる。
「とりあえず私、司馬さんと華山さんと仲良くなるからね!」
「お、おう」
「ぼ、僕は喜ぶべきなのかな?」
「喜んでよ! 伊尾くんの為にそこまでする子、他に居ないよ!」
「う、うん、ありがとう?」
どういたしまして! よし! まずは二人と仲良くなる! ……私の考えは合ってるよね? 合ってる……のかなぁ?
昼休みも終わって、教室に戻って授業を受けた。 授業そっちのけで司馬さんと、華山さんの様子を伺う。 まあ授業中に二人で話してるわけじゃないから、ただ単にじろじろ見てるだけになっちゃったけど。 華山さんと目が合って、変な顔されちゃった。 まあそれはそうだよね。 授業中にじろじろ見られたら変に思うのが当然。
ホームルームも終わって、司馬さんと華山さんが一緒に話していたので、そっと近づく。 うん、今の私明らかに不自然だ。 不審者?
「えっと司馬さん、華山さん」
「範馬さん、どうしたの?」
「……何か用かしら?」
あっ、華山さん冷たい。 これは仲良くなるの厳しいかな?
「えっとね、二人とお話したいなって思って」
「うん、別に構わないけど」
「話って何?」
「ふ、二人って仲良いよね!」
二人は顔を見合わせる。 まあ普段話してない子がいきなり話しかけてきたら、どうしようってなるよね。
「うん、仲は良いよ! 共通の趣味があるし」
「まあ……そうね、仲は良いわ」
「きょ、共通の趣味って何? 私も知りたいなぁ……なんて」
「あーそれは……」
「範馬さんには合わないかもしれない」
いきなりは無理かなぁ……。 でも共通の趣味って、百合の事? それなら私も理解あるって思って貰えれば仲良くなれるチャンスじゃない?
「そ、そんな事ないと思うよ! 私そういうの理解ある方だし! むしろ好きだし!」
「え?! 範馬さん私達の趣味知ってるの?」
「まさか……それは意外だったわ」
「う、うん知ってるっていうか、知ってると思う」
「そうなんだぁ! それであの二人と、いつも一緒だったんだね!」
「そうだったの……だからこそいつも一緒に……」
うん? あの二人って克己と伊尾くんの事? あれ? 二人が百合なのと、克己達が何か関係あるの? え? 何か間違ってる? いやでも、二人と仲良くなる為だから、ここは肯定しとこう!
「う、うん、それでもし良かったら、私も司馬さん達と仲良くなりたいなぁって」
「おお! そうだったんだね! まさか同士がこんな近くに居たとは」
「そういう事ならまあ……今から私の家に行こうと思ってたんだけど、良かったら範馬さんも来る?」
「良いの!? 行くよ! 是非行かせてください!」
やったよ! 私二人と仲良くなれるかも!?
えっと……これはなんだろう? 華山さんのお宅にお邪魔して、とっておきのコレクションというのを見せて貰っているんですけど…… なにこれ?
「あのこの本は?」
「うん! 私達が作ったんだよ!」
「克己×烈火本よ」
「ええっと、漫画?」
「BL本だよ! あの二人見てるとヤバいよね!」
「範馬さんは、どっちが攻めだと思う?」
うん……克己と伊尾くんがホモホモしく絡み合ってる。 えっとどういう事なの? 二人は百合じゃなかったの?
「あの……」
「あっ! ひょっとして普通のアニメのキャラの奴の方が良かった?」
「リアルで妄想までは無理だった? だったらこっちの本の方がいいかしら?」
ひょっとしてこれが腐女子って奴なの? あっこの作品私も知ってる。 うわ……なにこれすごい。
「あれ? ひょっとして範馬さんひいてる?」
「いきなり激しいの見せすぎちゃったかしら? 同好の志だと思って少し張り切りすぎちゃったわね。 ごめんなさい」
「でも嬉しいなぁ。範馬さんは他の子達とは違うって、思ってたんだよね」
「そうね。他の子達みたいに私達がオタクだからって、嫌ってる素振りは無かったし」
ごめんなさい。 オタクだってちっとも知りませんでした。 それに他の子達もそれで嫌ってるわけじゃないと思うよ!
「あ、あのこれ借りてもいい? 家でじっくり読んでみたいなって思って」
「ええ! それならこっちの作品もオススメよ!」
「好きなカプとかあったら教えて!」
結局数冊の同人誌ってやつを借りて家に帰ってきた。 どうしよう? これから私どうすればいいの? 百合にはなれないっぽいし、伊尾くんになんて言えばいいの? 司馬さん達と、どう付き合っていけばいいの? わかんない! ほんとにわかんないよ!
「おはよう、伊尾くん」
「ああ範馬さん、おはよう」
「咲! 昨日どうだった?」
「えっとね……やっぱり私は伊尾くんとは付き合えないみたい」
「何があったんだい?」
「おいおい、気になるな!」
「あのね……伊尾くんは克己と付き合うべきだと思うの!」
「ほんとに何があったんだい!?」
「おい!俺は見た目が女の子じゃないと無理だって!」
私は昨日二人から借りた本を読んで、気が付いてしまった。 私は……ホモが好きだって。
「とにかく! 私は二人を応援するからね!」
「いやいやいやいや! ほんとに何があったのか教えてくれ!」
「うーん……まあア〇ルがあるし男でもまあ」
「越智! お前とは絶交だ!」
司馬さん、華山さん、本当にありがとう! ホモが嫌いな女の子なんていません!




