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愛協大通り

さらに続きの妄想!、よろしければお付き合いくだせぇ

 恐怖を具現化したような生物、二本の牙と禍々しい顎、赤黒く光る4っつの目は確実に俺を認識しているようだ。大きさは隣のブロック塀で測って160㎝くらいだろうか、二足歩行でこちらを捕捉しているそれはどことなくゴキブリに近いような雰囲気をしている。


「てめぇか?、俺の親父をあんなにしたのは」


 カサカサカサと音をあげるそれは、ゆっくり、一歩を踏み出す、それに対して俺はなにもできない、1つの感情が全てを支配していて一歩も動けない、それの頭部から発せられる空気が鼻先にかかるほど近付いても動けない、なにもできない。

 それはゆっくり舐めまわすように全身をくまなく見物した後、俺に背を向けて離れる、それの背中には羽と思われるものが二枚付いていて、より一層ゴキブリというイメージを定着させる。


「っはあっ!」


 全身の力が抜け尻餅を付く。俺が息をしたのはそれがブロック塀で見えなくなってからだった、それに対して自身の圧倒的弱者立ち位置から発せられる恐怖心、それは俺の本能であって、正しい感情。


「しかし、どーするよ」


 街中をあれが闊歩していると考えると外を安易にはうろつけないだろう。


「けど、そーしないと進展はないよな」


 悩み、その途中で街に出ようかとも考えても、体は動かない、あの恐怖心が体を硬直させてしまってる、そんな間際。


「ああぁぁぁぁ―――っ!!」


 その叫びは彼を動かすのには充分だった。



―――(ФωФ)―――



 正義感、これとはまた違うよく分からない理由で声の元へと走り出した。


「けど!、ここで走らないと、後々後悔しそうな気がする!」


 ブロック塀の並ぶ住宅街を右へ左へと駆け抜け、あと十数メートルで住宅街を抜けると分かった時、気付く。


「普通は悲鳴を聞いて駆けつけるとか無理だよな!」


 まぁ、マンガとかではよくあるシチュだが、実際にとなるとそうはいかない、けれど、最高速に達した足はすぐに止まれずそのまま店の並ぶ通りに出てしまった、そのまま飛び出し防止用の柵にぶつかってやっと停止する。


「―――!」


 眼前に広がる光景に絶句する、


 道路の至るところに血痕があり、それよりも遥かに多い数でミイラが散乱している、ミイラの全てな男、あとは。


「ズボンが破けてる、なんでだ?」


 ミイラのズボンは破け、穴からは元々は機能していたであろう一物がだらりとしている、男なら誰しも寒気を覚えるような光景だ。


 そして彼は不運なくらいに運がよかった、普通、叫び声を聞いてその元に駆けつけるなんてことはできない、けれど、彼はそれをやってのけた。


「―――っ!、は――」


「あ?、声?」


 首を回し主を確認しようとする、死体、血痕、散乱した野菜、死体、死体、ドアの開いたままの車、死体死体死体死体死体死体血痕死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体血痕死体死体死体・・・


「―――て―れぇ!」


「いた!」


 大通りと路地裏を繋ぐ角に2つの人影が動く、慎重にそこに近付く、次第に見えてくる二人、バタバタと動く足とユサユサと揺れる板のような二枚の羽。


「たすけてくれ」


「らぁっ!」


 なにかを繋いでいたブロックを片手によく状況も確認せず殴りかかる、対象は馬乗りになっているヤツの頭。ゴスッと鈍い音と共に対象の体が横に倒れる、その対象はやはり。


「家の玄関先にいたヤツっ」


 予想通り、対象はさっき出会った恐怖の塊だった、倒れてもなお放たれるその威圧感に体の先端が微かに震える、その震えに同調するようにソレの手足がピクピク動くのが気持ち悪い。


「あおぎ?」


「―――へ?」


「あおぎ!、生きてたか!」


 俺の名前を呼ばれ反応する、ソレに気をとられていて忘れていた被害者、ソレに馬乗りされてた人間だ、けれど、その顔、体格には嫌というほど見覚えがある。


「お、大輝じゃん」


 短く整えられたスポーツ刈りに薄い唇と相対して深い鼻のほり、一発で悪人扱いされるような目付き、着痩せするタイプの彼、その服の下には鍛えられた肉体がある。

 西岸 大輝、小学校以来の、泉の数少ない友達の一人だ。


「たった3人の友達ってのは、言い換えれば親友だよな」


「お前はなにを考えてんだよ」


 そう言って立ち上がる彼のズボンは股間が破け、彼の一物が・・・。


「お前こんな状況でなに盛ってんだよ!?」


「しょうがねぇだろおが!、喰われててんだよ!」


 喰われる?、分からない、この街になにが起こっているのか、なぜ、そこらのミイラと同じように、大輝のズボンも破けているのか、そしてなぜ


「お前は生き返ってんだよ」


 カサカサという音に目を向けると、さっきまで倒れていたソレが起き上がっていた


「確実に頭を殴ったはずなのに!?」


「走るぞ!」


 大輝の合図で大地を踏み蹴る、そのまま自分のトップスピードに乗り、大通りを駆け抜ける、その前を大輝が先行する、そんな彼の股の間からプラプラ見えるアレがすごく気になって。


「大輝!、てめぇその無駄に長い一物を押さえて走れよ!、さっきから気になって仕方がねぇんだよ!」


「うるせぇよ!、そーゆーお前こそそのブロック捨てろよ!、走るのに邪魔になってんぞ!」


 逃げる間際に再び拾ったブロック、確かにこれを抱えたせいでいつもより走行は遅くなっている、そのためか、後ろから迫るソレとの差は縮まっていく、だけど。


「俺だって考え無しでそんなことはしねぇよ」


 このブロックは逃走に使う、そのためには。


「大輝!、そこの角を曲がれ!」


「おい!、確かにここは」


「いいから!」


「ま―――よぉ!」


 最後に大輝がなにを叫んだかは分からなかったが、予定通り角を曲がってくれた、俺もそれに続いて角を曲がる、薄暗い路地裏は体格のいい人一人程度の幅があるが、なぜか高さが180㎝程度しかない、しばらく走り続け後ろを見るとギリギリの幅を狭そうに追いかけてくるソレがいた、それを見て俺はほくそ笑む。


「かかった」


 軽く上体を後ろに捻り、持っているブロックを投げる。

 投げたブロックはソレの足元へ落下する、けれどもソレはジャンプでブロックを・・・


「避けれるんなら、避けてみな!」


 ソレはジャンプできない、青城家で出会ったそれより10㎝は大きいと見えるソレの背とこの路地裏天井との差はせいぜい10㎝、ソレが普通の生物であるなら、投げられたブロックを上へ避けることはできずに・・・

 ブロックはソレの足を見事に捉え、ソレは盛大にスッ転ぶ、スッ転んだソレを待つのは


「っしゃー!」


 体重68㎏を乗っけた、俺の尻、 尻は見事にソレの頭を捉え、何かが折れた音が路地裏に響き渡る。


「あおぎ・・・、倒したのか?」


 先を進んでた大輝が戻ってきた、彼の目が捉えるはピクピク動くソレの手足、けれどその手足もぐったりと動かなくなり、ソレの死を物語っていた。


「まぁな!、余裕余裕!」


「頭のそのたんこぶは?」


「気にすんな!」


 こんな狭い所で思いっきりジャンプして頭を打ち付けた、そのおかげで大きなたんこぶの完成。


「頭がグラグラするけど・・・、大輝」


「ん?」


「この街になにがあったか、教えてくれ」


 大輝から差しのべられる手を掴み、俺は質問した。




青城 泉 大きなたんこぶを代償に脅威を排除した。

やっぱ難しいな、これは電車の中での妄想ですね

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