到着っ!
シングルベールシングルベール♪、え?、もう過ぎた?
自分が息をしているのかすら分からない、ひどく寒く、汗が吹き出てくるのは感じる。
仰向けで上半身を起こした俺の視界にあるのはエリアボスの死体、先程まで俺を追いかけていたエリアボスは仰向けに倒れている。
体を動かすのもしんどいが、立ち上がる、後ろを向けば大輝も呆然と突っ立っていた。
「俺は、生き残ったのか」
重い足取りで残りの坂を上り、大きな門を見つめる、すると門は鈍い音を立てて少しだけ開いた、そこに俺達は身をよじらせながら入った。
―――――(ФωФ)―――――
十字の線がマザーの頭を捉える、瞬間引き金を引き弾を射出、弾は見事マザーをヘッドショット、マザーは仰向けに倒れ、少年は無様に転けた。
すぐそばで優雅に紅茶を飲む領主に報告。
「領主様、掃討完了致しました」
「できれば銃以外で殺してほしかったなー。
火薬の臭いで紅茶の香りがわからないじゃないか」
銃以外でどう始末しろと?、私は銃を専門に扱っているんだから、使って欲しくなければ、他の人間に頼めば?って話なんだけど。
「申し訳ございません」
「あと、チャイナ服でって注文したよね?
なにソレ?、ジャージ?、しかも家の高校のじゃん」
お前どういう趣味してんの?、チャイナ服で狙撃してる人って、某ゾンビゲームの4にいた気がするけど。
とりあえず謝っとこ、この人、最悪私より強いし。
「申し訳ございません」
「うん、もういいよ、それより・・・青城くんが門を見てるよ、早く開けてあげて」
なんで見えんの?、スコープ通せば普通に確認できるけど、裸眼ではキツイんじゃないのこの距離は、うん、いるいる、二人でいるけどどっちだろーな?、まぁ、役立たずなら始末すればいっかぁ。
カチッ
おぉ、お?、えぇ、開くのってあれだけ?、いやいやいや、立派な門なんだから、もっと豪勢に開けようよ。
「死にたいんならそうすれば?、ワタシは逃げるけどね」
あれ、顔に出てたかな?
―――――(ФωФ)―――――
ひ、広いっ!、これって庭か?、いや、庭園だな!
門をくぐって(?)見えた光景は圧巻のものだった、海外では、左右対象の庭が美しいって聞いたことあるけど、まさにそれじゃん、マジでスゲェ、あ、噴水、初めてみたなー。
ここに来てしばらく見てるけど、飽きねぇなこれは。
「お出迎えは無しかな」
「失礼しました」
「うぉ!?」
大輝の呟きに答える人間、大輝の方は独り言を返されて驚いているようだ、んで、その人間ってのが。
「はじめまして、ワタシは黄桜 春美、よろしくね」
「初めまして、に、西岸 大輝です、よろしくお願いいたします」
校長自らお出迎え、太陽の下でも口元しか見えない不思議なフードはやはり健在だ。
「青城くん、無事でしたか、よかったです」
軽くコクりと頷く、いや、喋れないわけじゃないけど、さっきのでかなり疲れたから、喋りたくないんだよね。
俺の反応を校長は気に留めず、俺達に背を向けて歩きだす、よし、この庭園の観光でもしよう。
「いや、ここは普通ついて来てよね!?」
お、初めてこの人の大声聞いたな、大輝は少し蚊帳の外だな、しょうがない、顔に思いっきり顰めっ面してみるか・・・こんなんでどうだ?、うまくいってる?
「彩といい、青城くんといい、なんでこう顔に現れるかね」
「そうでしたか、以後気をつけます」
お、効いてる効いてる、ってえ?、声?、しかも女性?
えーっと、俺と大輝と校長だけだよな?、???
「女性に対してその反応は失礼ではないですか?」
ヌゥっと、女性の顔がアップされる、なんだろ、某ホラー映画の化け物みたいだ、彼女はそのまま俺から離れる、上下を黄桜高校のジャージで着飾り、だいぶ長い黒髪の間から目を覗かせいる彼女、なんつーか、不気味だ。
「どうもはじめまして、遠藤 彩といいます、よろしく」
そう言って彩さんは再び姿を眩ます、なんなんだろ?、超能力者だったりして。
「彩は極度に影が薄いから、よーく目を凝らさないと見えないよ。
さっにみたいに至近距離で近づけば別だけどね」
「その割には領主様は私の姿が見えていらっしゃいますよね?」
「そうだね、ワタシは特別だから」
あーあー、お二人さん。もう疲れたから休ませてもらっていいすかー?
あ、だめだこりゃ、全く聞いてないわ、なんな二人でどーでもいい話してる、屋敷ってあれだよな?、勝手に行くか。
一応大輝に目配せして歩く、目指すは布団っ!
西岸(俺がここにいる必要性あるのか?)