黄桜の坂 天気―快晴
暇潰しで自分の妄想を見せびらかします(笑)
せっかくのこの機会、自分の妄想につきあってもらえれば幸いです。
10月17日 午前11時42分 黄桜坂にて。
綺麗な青色の空の下、黄桜坂に1つの人影がある、
身長170㎝、体重60㎏、印象の薄い顔に清潔に保たれた黒い前髪が目の辺りまでかかっている。
学ラン、高校指定のカバン、その装いはまさに高校生
黄桜高校 第二学生 青城 泉 17歳
学校を背に坂を下る彼の周りには他の生徒の姿はない、それもそのはずで今は授業中なのだ、ならばなぜ彼は授業に参加していないのか。
早退
たが彼は別段体調が悪いとか、親戚に不幸があったみたいな理由は無い、理由は「犯罪を犯しそうだから」である、勿論、高校の教師達がそんな理由を認めるはずもないので、表向きには体調不良ということにしてあった。
―――(ФωФ)―――
黄桜高校を背に無駄に長い坂をゆっくりと下る、自分自身としては早く帰らないといけないのだが、なにせ急な坂で、歩調を早めると転びかねない。
登校する生徒の脚を毎朝痛め付けるこの坂は、黄桜高校の正門とつづいてるため黄桜の坂と呼ばれている、ちなみに黄桜とは鬱金桜といわれ、うちの高校にはその黄桜が沢山植えられていたりする。
「他校の奴等から日本酒高校とか言われたりするんだけどな。」
これは誰かに向けたわけでもないただの独り言で、特徴の少ない自分の特徴(癖)の1つ、「独り言が多い」だ、心の中で思ったことをよく口に出してしまい、あまり親しくない人からはやや気味悪がられたりする特徴(癖)だ。
「前に嫌いな奴の前で「ウザい」って言った時は焦ったなー(笑)」
こうして長い坂を下りきるまでどうでもいいことを考え続ける、起こしそうな犯罪の動機に目を逸らすために、ちょっとでもそれに目を向けると暴走しかねない、邪心、煩悩、欲望、渇望・・・、一度暴走すれば理性を失い、自分は犯罪行為に及ぶであろう、その後の想像は難しくない、理性を取り戻し絶望する自分の下に警察官が駆け寄り強引に手錠をかける、それを聞き付けた報道陣がフラッシュを炊き、翌朝の新聞には自分の名前と顔が1面を飾るであろう、裁判では必死に弁解をする自分に慈悲も無く有罪がくだされ、一生刑務所生活、運よく出所できたとしても既に自分は社会的に死を迎えている。
こんな望みたくもない未来は実現してはならない、だから自分は早退をする、青城 泉の明るい未来のために。
そうこうしている内に長い坂道は終わり、少し大きめの道路が進行方向を塞ぐ。
「すー、はーっ・・・――っ!」
ゆっくりと深呼吸をして息づかいを整え、一拍おいてからダッシュ、そのまま無心で我が家を目指す、余計な事を考えないように。
11時45分、青城 泉は何事もなく無事に黄桜坂を降りきった。
実際に自分の高校には長い坂があるので、このお話はその坂での妄想ですね。