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第6話

文化部棟3階ボランティア部部室

普通に高校生活を送っていたならば、決して来ることがなかった部屋だろう。十分前に、校門付近で勧誘?されて、ここまで連れて来られたわけだ。ちなみに、鞄を先輩に抑えられたので、途中で逃げるという選択肢はなかった。あったとしても、あの空気の中逃げ出す勇気はなかったと思う。


「とりあえず、緑茶とコーヒーと紅茶があるけどどれがいい」


「じゃあ、コーヒーでお願いします。それで、先輩、俺がここまで連れて来られた理由を含め、色々教えてもらっていいですか。あと、鞄返してください」


先輩はいかにも、インスタントというコーヒーを入れてくれた。


「とりあえず、自己紹介からしましょうか?私は2年でボラ部部長の中村咲季よ」


どうやらこの人はこちらの話を聞く気がなく、あくまでも自分のペースで話を進

める気でいるようだ。


「1年の萩村直樹です」


「知っているわ。あと、あなたがクラスでぼっちだってこともね」


「どうして名前を知って…ていうかぼっちじゃないです」


この人は一体なんだ?


「順番に話してあげるわ。春休みのことよ。私ね、駅前のショッピングモールで買い物をしていたのよ。そしたら、迷子の子供を探しているお母さんにあって、一緒に探してあげてことがあったの。その時に一度会ったと思うけど、覚えてない?」


「あ、あの時の?あれって先輩だったんですか?」


確か、この前彩といったショッピングモールで迷子の男の子に出会った。さらに、成行きでお母さんを一緒に探してあげることになった。その時に、お母さんと一緒に子供を探してあげている人がいた。でも、その人もすぐにどこかに行ってしまったから、全然印象に残っていなかったけど、言われてみれば背格好が似ているかもしれない。


「それで、それと俺がここに連れて来られた理由とどう関係があるんですか?」


「まあ、話は最後まで聞きなさい。私は、小さな男の子を助けてあげるなんて、なかなかいい人たちがいるものだなって感心したわけなの。そしたら、その一人がうちの高校の新入生にいるのを偶然見つけたわけよ。ちょっと、興味があったし、休み時間とかで気にかけていたら、どうもその子はクラスにとけこめてないみたいだったのよね。これは、ボラ部員としては放っておけないって思って、今日あなたをここに連れてきたわけよ」


「すみません。僕、今の話から先輩が僕のことをストーキングしていたって情報しか得られなかったんですけど」


もしかして、この人ってヤバい人?早く帰りたいな


「新入生だし、友達いないから知らないのは無理ないと思うけど、うちの部って生徒からの依頼を聞いてあげるって活動もしているの。ただし、それなりの報酬はもらうけどね」


この人はいちいち、ぼっちだとか友達がいないとか強調するな…


「そこで、この私があなたをクラスにとけこめるようにして挙げようと思うのよ」


「いや、そういうのいいので、マジで勘弁してください。というか、早く鞄を返してもらってもいいですか…」


「いいの?あなた、このままだと高校生活を一人で過ごすことになるわよ」


「余計なお世話です。そもそも、今日だって先輩が強引にここへ連れて来なければ、どこか適当な文化部に入って、それなりに充実した学園生活を送れたと思いますよ」


本当ならば、今頃適当に部活に入って、新歓とかで先輩や同級生と知り合いになっているはずだった。しかし、それの予定も全てこの先輩のせいで、なくなってしまった。今から戻ってもな…


「だから、私があなたに友達を作ってあげるって言っているじゃない。結果論でいえば、同じことでしょう?」


「確かにそうですが…」


「なら、一つ賭けをしましょう。私があなたに友達を作れるかどうかをかけましょう。そうね、期限は明日の放課後まででいいわ。もし、明日の放課後までにあなたに一緒に昼ご飯を食べる友達ができなければ、あなたが入りたい部活の2年生にうまく口利きして、自然に入部できるようにしてあげるわ。ただし、私が勝った場合はボラ部に入部するって条件でどう?」


この条件だと、俺は確実に友達ができることになる。いや、ぼっちだと認めたわけじゃないよ。先輩が先ほど言ったように結果論では考えるならば、俺が得る結果は変わらない。もちろん、入る部活に違いが生じるが、先輩は退部してはいけないという条件を付けくわえていない。


「いいですよ」


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