表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

金髪のエックベルト、der blonde eckbert あるいは、バルドアインザムカイト。waldeinsamkeit(森の寂寥)  試論

作者: 舜風人

ドイツロマン派の大御所?に、ルードビッヒ・ティークがいる。


彼の作品は多岐にわたり


晩年は写実的な歴史ものまで書いているという、多作家だ。


まあ


とはいえ


今も価値があるのは



前期の


ワッケンローダーとの友情から生まれた


ロマン的な夢に満ち溢れたメルヘン作品群だけだろうが、、、。

「長靴をはいた猫」

「ルーネンベルク」

「エルフェン」

「友人たち」

「マゲローネ」  などなど、、、、、。



そんな中にこの


「金髪のエックベルト」がある


多分ティーク作品では一番人口に膾炙している作品だろうと思われる。


わたしてきには


長編小説の


「フランツシュテルンバルトの遍歴」


「ウイリアムロベル氏の物語」


が一層魅惑的ではあるが


残念ながら


この2作とも未訳である。


以前、レクラム文庫(ドイツの岩波文庫のようなもの)にあるので

読解しようとしたのだが、、いかんせん私のドイツ語力では全訳はムリ?だったのでやめたが、、。


さて金髪のエックベルトは因果応報の残酷?メルヘンである。


その中でも、私が興味あるのは


物語中に挿入される


謎の?ポエムである。


その詩は謎の小鳥が詠っているのだが、


それが暗示するように物語が進行するからである。




、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、




羊飼いの両親の家でこき使われ、耐えられずに、家出した


少女ベルタがさまよいこんだのは、森の魔女の家だった。


その家のかごの鳥は嬉しそうに


こんなポエムを歌っていた。

  



森のわびしさ

これ、我がよろこび

今日も明日も永遠に

ああ、わがよろこび

森のわびしさ

  




ベルタは快く受け入れらて魔女の養女?となる。

そして小鳥の世話や飼い犬の世話をして平和に暮らしたのだった。


しかし、安らかな森暮らしにも、やがて飽きたベルタは


数年後、どうしても町に出たくなって、


魔女の家の宝石を盗み


魔女の不在中にこの小鳥の籠だけを持って逃亡する。


その時小鳥は悲しそうにこんな歌を歌うのである。





森のわびしさ

今ははるかなり

おお、いつの日か

汝は悔いなん

ああ、またとなき喜び

森のわびしさ





ベルタはその歌を聞くと後悔で怖くなり思わず小鳥を絞め殺してしまう。


  

街に出たベルタはそのご、宝石を売って優雅に暮らした。


そして騎士エックベルトと知り合い結婚したのだ。


しかし、


そんなベルタの平和な暮らしの中で


ある日、、、


エックベルトの友人となった謎の男ワルターに


ベルタが森暮らしの思い出をカミングアウトした時に


どうしても思い出せなかった魔女の飼い犬の名前を


その男が


「あなたのお話のその犬、シュトロミーアンの姿が目に浮かぶようですよ」


といったのである。


なぜ名前を知っているのか?


誰も知らないはずの魔女の犬の名前を?


その男はそれ以来、ぷっつり現れなくなってしまったのだが、、、、、


ベルタはエックベルトにそのことを話したきり、、心痛で寝込んでしまった。


そんなあるひのこと、、エックベルトは気晴らしに森へ狩りに行った。


森の奥深く入ると、、


そこにあの謎のワルターがいた。


エックベルトは思わず石弓を構えて矢を放った。


矢は当たり男はどうと倒れた。


エックベルトはあわてて城へ帰ったが


城で見たのはすでに亡くなってしまったベルタだった。


エックベルトは深く悲しみ


城に閉じこもってしまった。



そんなある日、


エックベルトに


再びフーゴーという友人ができた。


エックベルトは親しくなったフーゴーにそれまでの話をカミングアウトした。


するとフーゴーが不気味に見えてきてふと、みるとそれはワルターの顔だった。


エックベルトは気も狂わんばかりになって錯乱し、


馬に乗って城を出た。


そうしてどこを、どう、たどったのか、、、


いつしか深い森の中にさまよいこんでいた。


ふと、、


風に乗って


こんな歌が聞こえてきた。




森のわびしさ

よみがえりし喜び

われには悩みなく

ここにはねたみなし

帰り来たりし喜び

森のわびしさ





そして森の中から魔女が現れて、、、


「わしの鳥をもって来てくれたかね? 宝石と犬はどうしたい?」 


「ほうら、悪事には必ず報いがあるんだ。知ったろう?わしはワルターであり、フーゴーだったのさ」


「それに、、ベルタは、、実は、お前の妹だったんだよ」


 エックベルトはそれを聞くと、驚愕で、どうと、地面に倒れふした。



「バカなベルタはわしをなんで騙して逃げ出したのかねえ? 


ずっと森にいれば、、すべてが、めでたしで終わっていただろうにさ。」



「ベルタある騎士の娘だったが、騎士は羊飼いに預けて、育てさせたのさ。


その騎士は、ほれ、お前の父親さ。ほかの女に生ませた子だったから、


ベルタを手許で育てられなかったというわけなのさ」 


エックベルトは完全に錯乱して、、まさに死なんとして地面に倒れていた。


そうして薄れゆく意識の中で、、、


エックベルトには老婆や犬の声、小鳥が例の歌をくりかえす声が、入りまじって聞こえていたのだった。


、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、



この挿入詩であるが

「森のわびしさ」と訳したのは

原語waldeinsamkeitである。


これはティ-クの造語でwaldは森

einは1つの

samkeitはさびしいとでも訳せようか。


「森の寂寥」と訳した、邦訳本もある。


しんと静まり返った、

独逸のうっそうとした森。


グリムのメールヒェンにでも出てきそうな深い森。


それを新造語で

バルトアインザムカイトという

表現であらわしたのはティークの功績であろう。


割と有名な短編であるから筋はご存知だろうか?。


この詩は兄と妹の禁断の関係をそれとなく隠喩で表し、


あわせて森の寂寥がベルタの運命の行く末の暗示をも、あらわしたものであろう。







付記


この挿入詩の翻訳は私の拙訳です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ