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夢の中の少女

二つ目の作品です。


皆様の暖かいご声援、宜しくお願いします。



「大きくなったら私と結婚しようね。」


幼い頃の僕に、微笑み掛ける同じ年の頃の少女。


「うん、いいよ。」


幼い僕は、笑顔で答える。


そして少女は、僕にキスをする。



場面は変わり、


「私のこと、絶対に忘れないでね。」


涙でぐちゃぐちゃになった顔の少女。


「絶対忘れない。」


必死で涙を堪えながら答える僕。


ここでも少女は、僕にキスをする。







眠い目を擦りながら起き上がり、今朝の夢を思い出す。


最近、同じ夢を見る。


まだ三歳頃の僕と、同じ年頃の少女の夢。


あれは一体何なんだろう?


僕の記憶に、あの少女はいない。


僕が忘れてしまった記憶なのだろうか?


それとも僕の願望なのだろうか?


もし願望だったらちょっとヤバイな。


僕は苦笑いしつつ、学校へ行く支度を始める。


夏休みも終わり、今日から新学期が始まる。


いきなり遅刻するわけにはいかない。







僕は至って普通の高校生だ。


いや、普通だと思っているのは自分だけかも知れないが、普通であると思いたい。


運動は可もなく不可もなく。


成績は中学の頃は良かったが、そこそこの進学校に進んだ為、高校での成績は中の下といったところだ。


好きな女の子がいないでもないが、告白する勇気もない。


勿論、女の子と付き合ったこともない。







九月になったからといって急に涼しくなるわけもなく、厳しい残暑の中、学校に行く為に駅までの道を歩く。



「おっはよー、和志!」


バシッと鞄で叩かれ振り返る。


黒髪をポニーテールにした制服姿の少女がいた。


「痛いから鞄で叩くなって言ってるだろ。」


「ボケっと歩いてるから目覚まし代わり!」


彼女の名前は高橋愛美。


何かと世話を焼きたがるメンドくさい奴。


コイツとは小学校から一緒だが、恋愛感情は全く抱いていない。


恐らく、向こうもそうだろう。


夢に出て来た少女も、コイツではない…はず。


だって愛美は、小学校三年の時に、うちの近所に引っ越して来たのだから。


「お前って三歳ぐらいの頃、うちの近所に住んでいたことないよな?」


念のため確認してみる。


「はぁ?何言ってんの?私は小三の時に、こっちに引っ越して来たでしょ!和志は夏休みボケなんですかねぇ。」


うん、やっぱり違う。







駅のホームに着くと、見知った顔をもう一人見つけた。


「あっ!おはよう、高橋さん!…何だよ、和志も一緒か…。」


「おはよう、水野君!」


愛美と一緒に来た僕を見つけて、あからさまにがっかりしたこの男は、水野健司。


見ての通り、コイツは愛美が好きだ。


愛美は健司の気持ちに気付いていない。


いや、気付いているのに気付かないふりをしているのかも知れない。


まぁ、僕にとってはどっちでもいいことだ。







「そういえば、今日から転校生が来るらしいぞ。しかも女子!同じクラスになるといいなぁ。」


どこでそんな情報を仕入れてきたのか知らないが、僕は健司の情報に対して、あまり興味を抱かなかった。


「同じクラスどころか、同じ学年とも限らないだろ。まだどんな奴か分からないんだから。」


愛美のことはいいのかよ!という言葉は黙っていてあげた。


「そうだけど、女の子の転校生なんてワクワクするだろ。和志は女の子に興味ないのか?」


「でも一年のこの時期に転校してくるということは、色々わけが有りそうじゃないか?」


健司のバカな質問はスルーして、ふと疑問に思ったことを声に出す。


「何だよ、お前もやっぱり興味あるじゃん!このムッツリ野郎!」


うるせぇ、そういう意味じゃないんだよ!


ただ何となく気になっただけなんだ…。


「もし一緒のクラスだったら、色々教えてあげなきゃ!仲良くなれるかなぁ。」


出たよ!お節介の虫が。


楽しそうな愛美を見て、メンドくさいことにならなきゃいいなぁ、と思った。


この時はただ漠然と…。






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