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無限の火花の世界  作者: Rocky Pancakes
第1章:目を開きはじめて」
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エピソード7: にぎやかな食卓

ああ〜、ついに両親が長い時間をかけて準備したプレゼントを見ることができました。

ハーリンの反応は、まさに最高でした!

ハーリンは食卓に座っていた――

村じゅうを招いても足りそうなほど、豪華な夕食の並ぶテーブルだ。


彼女は両手を合わせ、ぎゅっと目を閉じる。


しばらくして――

ぱちり、と目を開き、満面の笑みを浮かべた。


「毎日、家族がこんなふうだったらいいのに!」


ヘイルは身を乗り出し、娘の頬をやさしくつまむ。


「毎日がこんな日だったら、特別な日はなくなっちまうだろ?」


その瞬間、メリルが彼の袖を引き、小声でささやいた。


「……ハーリンのプレゼント」


ヘイルがびくっと跳ねる。


「え!? まだ渡してなかったのか!?」


声は抑えていたが、驚きは隠しきれていなかった。


メリルは慌てて家の中へ戻り、すぐに分厚い、使い込まれた一冊の本を抱えて戻ってくる。

そっと埃を払う。


「ハーリン。お誕生日おめでとう」


「……あなたは、もう準備ができてると思うわ」


一拍置き、メリルは名残惜しそうにその本を見つめてから、娘へ差し出した。


「この本ね……私があなたくらいの年の頃から、ずっと一緒だったの」


表紙は色あせ、長い時間と冒険を物語っていた。


ハーリンの目がきらきらと輝く。


「わぁ……」


本をぎゅっと抱きしめ、そして――それ以上に強く、母を抱きしめた。


「ありがとう、ママ!」


その時、ヘイルが大げさに咳払いをする。


「えーへん。実はだな、パパからのプレゼントもある。きっと気に入るぞ」


彼は背中の後ろから、テディベアを取り出した。


片方の耳は高く、もう片方は低い。

縫い目は曲がり、全体的に……少し歪んでいる。


正直、ちょっと……不格好だ。


「お、俺が作ったんだ!」

ヘイルは胸を張る。


その瞬間――

ボタンの目が一つ、糸一本でぶら下がった。


「うわっ!」


慌てて押し込み、何事もなかったかのようにハーリンへ差し出す。


ハーリンは、そんなこと気にも留めない。


二つの贈り物を胸に抱き、心からの笑顔を浮かべた。


「大好き! ありがとう、ママ! パパ!」


メリルがその表情に見とれていると、

ヘイルが手を叩いて空気を破る。


「よーし! 食べよう!」


ハーリンは料理の並ぶテーブルを見回し、ふと気づいた。


――自分が選んだ、あの三つの果物。


キログスの皿の上に、手つかずのまま、きれいに並べられている。

火も通されていない。


メリルの言っていた「特別な料理」は、

“そのまま”残すことだったのだ。


ハーリンは、ハートの形をした果物を手に取り、少しだけ迷う。


それを見て、ヘイルが指をさして大笑いした。


「それ絶対パパだろ! で、デカいのがママだな! ははは!」


「誰がデカいのよ! ハートは私でしょ!」

メリルが即座に言い返す。


両親の言い合いをよそに、

ハーリンの心は、もうずっと前に決まっていた。


彼女はにこっと笑い、ハート型の果物を母へ差し出す。


「これはね、ママの!」


ヘイルが固まる。


「……え?」


メリルは目を輝かせ、それを受け取った。


「ありがとう、ハーリン!」


そして、世界一の勝者のように、夫へ舌をぺろりと出す。


ヘイルはぶつぶつ言いながら、丸々とした果物を手に取る。


メリルが一口かじる。


「んんっ! やっぱりハーリンに選ばせて正解ね。とってもおいしい!」


ヘイルもかじった。


「……うん。パパのも、かなりうまい」


「ほら見ろ! ハーリンはちゃんと分かってる。見た目は普通でも、味は間違いないんだ!」


最後に、ハーリンは一番小さな果物を手に取った。


「これはね、取っておくの!」

嬉しそうに言う。


「もちろんよ」

メリルは娘の髪をなでる。

「じゃあ、みんなが見えるようにキッチンに飾りましょう」


「ありがとう、ママ!」


食器の触れ合う音と、グランダル家の温かな笑い声は、

やがて静かに夜へと溶けていった。


***


その夜――


家中の灯りは消え、

ハーリンの部屋だけが、やわらかな光に包まれていた。


彼女はうつ伏せになり、

胸の前には手作りのテディベアを座らせ、古い本を読んでいる。


一ページずつ、ゆっくりと目で追う。


――魔法とは、心・魂・意志の調和である。

一つ欠ければ、誰も扱うことはできない。


……


――学び、感じること。それこそが魔法への道。


また一ページ。


――空気は遍在する。旅はここから始まる。


……


――エネルギーはすべてに宿る。それを感じ、引き出せ。


ページをめくる音の中で、

ハーリンの手が止まった。


――ある呪文が、彼女の目を引いた。


《リ=アンド》

奪わぬ魔法。与えるために生まれた術。


装飾は美しく、文様は優雅で、ひときわ目を引く。


――ママの回復魔法と違う……なんで黄色なの?

なんだか……すごく、強そう


挿絵には、女性の聖職者が傷ついた騎士の頭を胸に抱いている。


彼女の心臓は赤く描かれ、

血のような赤い雫が、黄金の光の線と溶け合っていた。


――《リ=アンド》は、

術者が真に心を差し出した時にのみ現れる。


いつの間にか、まぶたが重くなる。


文字が、やさしく滲む。


本の上に置かれた手――

そして、静かに……穏やかに……


ハーリンは眠りに落ちた。


テディベアは、彼女の頭のそばで、そっと寄り添っていた。

— 作者より —

エピソード7を読んでくださってありがとうございます!

その誕生日は、ハーリンが受け取っただけのものではなく、喜びそのものが家族全員に広がっていったのでした。

読者の皆さんの感想をいただけると、とても嬉しいです。

毎週2つの新しい章が公開されます!

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