恋を探しにいくぞ
「いいか。長年プレイされたゲーム機の僕の夢がこの世界だ。アンタじゃなくて僕への神からの褒美みたいなもんだ、だから弁えろ」
これから僕の考えたゲームをご主人にプレイして貰う、僕の気の済むまで、とビー太君はゲーム説明をしてくれた。
「今までアンタがプレイしてきた乙女ゲームやらファンタジーロールプレイング、ストラテジー、それらの世界のキャラクターの中から」
ーー本気の恋を探せーー
「それが見付かった時、ご主人は現実でベッドの中で目を覚ます。ご主人が恋したキャラクターが、あんたの世界に準じた立場と見た目であんたの横に寝てるから、ご主人はそいつを起こす。これで僕の任務は完了だ、悔いなく眠れる、もう二度と夢もみない」
ビー太くんのお話は凄く私にとってお得で、ビー太くんにとってはビターなモノに聞こえた。
「ビー太くんとは一緒に目を覚ませないの……?」
私達を囲っている、ビー太君に起こされた時には真っ白だった空間が、どこかの森のように形づくられ始める。
青々とした木々が生え、地面は苔むし、鳥の声が聞こえてくる。
私の前を、トンボが横切った。
「僕はゲーム機だ、ご主人に夢を送り続けたゲーム機なんだ。……だから」
ビー太君のすみれ色の瞳が決意をともす。
「ご主人に最後まで、ゲームを楽しくプレイする時間を与えたいんだ。それが存在意義で僕の夢だ。それに……」
僕はご主人に恋されるのはキツいーー、登り始めた太陽の光を眩しがるように目を細め、大変美しい表情をしながら、ビー太くんはハッキリ告げたーー。