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まぶしい王子様と不機嫌主人公クン

「ーーリード、この辺りの召喚獣たちは落ち着いてきているんだろう?」


 王子様モードになったアーレス様は、リード君にそう尋ねた。


「……まあ、そうだな、数も減ったしアブナイ奴らは見なくなった。でもな、アーレス」


 二人のやり取りを両手を組んで遠くの椅子から神々しく拝見していた私のところに、リード君がズカズカっと近寄ってきて。


「さっき、コイツら野良の召喚獣に絡まれてたんだよ。俺が助けたんだけど、すぐそこの畑跡地でだぜ?」


 私の肩をガシッと掴み、引き寄せながら、リード君は『俺が助けた』の部分の語気を強め、アーレス様にそう言った。


「?! 奇妙だね、それは」


 アーレス様はリード君の物言いや私へのスキンシップは無視で、召喚獣の事について考え始める。


「この一帯は、リードとフランの警備が一番濃い場所だ。両国の王国騎士団や自警団なんかもリードに報告によく来る要所でもあるし……。そこに召喚獣が出て人を襲ったのはおかしいね」


ーー大丈夫だったかいーー


 アーレス様の目が、私とビー太くんに向けられ、気遣わしげに瞬きをする。


 私はリード君に肩を抱かれ引き寄せられたまま、赤面しながら何度もアーレス様に頷いてみせる。


「だ、だいじょうぶ、でした! わ、わたしの従者と……リード君が守ってくれて!!」


「一方的に守ったんじゃないぜ! さたんぬは木の棒で召喚獣に応戦してたんだ。確か、一匹送り返してたよな?」


 リード君は私の両手をとり、木の棒を握らせるみたいにして、ブンっと私の両手を一度縦に振らせた。


「……離れろ、リード・マスターキー。ご主人に過度に触れすぎだ。それにあの木の棒は槍だった。手の振り方はそれじゃ間違いだ。ご主人が出していたのは槍による『突き』だ、だから正確には……」


 リード君の手をつまみ上げ、ビー太くんが私を立たせる。


 そして私の背後に回り、私の両腕を持って、私に『突き』のポーズを取らせ、満足げに言った。


「こうだ」、と。


ーー大好きな憧れの王子様の前で、私は一体何をさせられているんだろうーー


「……はは、あはは! か、可愛らしい攻撃方法だね! しかも、ちゃんと当てて還してやってくれたのか。すごいな、さたんぬ」


 アーレス様に笑われて、私は照れて固まってしまう。


 ビー太くんが私から手を放した。


「実際、木の棒で倒せる相手で良かったよな。俺の援護も間に合ったし」


 リード君は、何故か御機嫌斜め気味になっている。私が座っていた椅子の後ろに腕を回し、ビー太くんとアーレス様に不機嫌さを隠さない言葉を放つ。


「一番弱い召喚獣種だったんだね、よく気付いて駆け付けてくれた、ありがとう、リード」


 アーレス様は微笑を作って、リード君に温かい言葉をかける。


 私は二人の中間地点に立たされて、ちょっと気まずくなった。


「ーーでも、最弱種が仮にこの世界に取り残されてしまっていて、僕やリード達が見過ごしてしまっていたんだとしてもーー、どうしてさたんぬ達を襲ったりしたんだろう?」


「俺にもわかんねぇ。そういや、二人は俺とフランみたいな相棒らしいんだが、何しに畑跡地なんかに行ったんだ? 召喚獣は何処から出てきた?」


「わ、わたくしもお聞きしたいです、紛争ではぐれてしまった召喚獣の帰還対応は私とリード様のお仕事ですので……!」


 リード君、フランちゃん、アーレス様の視線が私とビー太くんに集まる。


 せ、説明しろって言われても……!

 異世界転移した先で急にチュートリアルバトルが始まっちゃったんです、とは言えない……!!


「……召喚獣が何故活発化していたのか、は僕らには解らない。僕らは別世界から旅を重ねてこの地に至ったんだ。召喚獣と戦う羽目になったのは始めてだ」


 ビー太くんが、私の代わりにスラスラと三人に説明をする。


「リード・マスターキーの家の近くにいたのはたまたまだ。背の高い雑草の向こうから、僕らを目掛けて召喚獣たちは現れた。活発化した召喚獣たちに迫られ、僕らは避けようもなく戦闘になだれこんだんだ。そして僕らが何故旅をしているか、だがーー」


ーーご主人の伴侶を探すためなんだ。ご主人には今まで恋人らしい相手がいなかった。ご主人の故郷では伴侶を持たない人間は旅に出される。恋愛できる相手が見付かるまで、僕らは旅をやめることが出来ない。だからーー


「……僕のご主人に本気の恋が出来る相手が見付かるまで、僕らは旅を続けるんだ。召喚獣に襲われたのも、それがこの場所の近くだったのも、本当に偶然だ。詳しい事は僕らには解らない」


 ビー太くんの流れるような状況説明の嘘に加えられた、赤裸々な自分のモテなさの真実を語られた私は、静かに目から光を消し去って床に体育座りをした。


「……つまり、モテない主人の守り役をして……!わざわざ世界を渡ってんのか、ビー太!!」


 リード君だけが、遠慮なく大笑いをし始め、ビー太くんの頭を撫で回した。


 ビー太くんは完全に怒り、リード君の手から自身の身体を遠ざける。


 フランちゃんは天井の方に目線をやり、フワフワと背中の羽で辺りを軽く飛ぶ。

 アーレス様は座り込んだ私を心配してだろう、お座りになっていた椅子から立ち上がってくれたのだが、どう声を私にかけていいか解らないのか、私の座り込んだ床の手前で「えぇっと……」とどう対処するか困っていらっしゃる。


 そんななか、リード君が爆弾発言をした。


「なーんだ、モテなくて旅してるなら! ここでその旅、終わるかもしれないぜ?! なあ、さたんぬ!」


ーー本気の恋の相手、俺で良くねぇ?


 私達は、耳を疑った。リード君を除いて。

 召喚獣が別世界から喚べる世界なので、ビー太くんは自分たちは別世界から旅をしてきた、と説明してます。『異世界』から『転移』してるのをバラしている訳じゃ無いので、セーフです。


 ややこしいやね。

 次回辺り、図解するかもです。

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