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チュートリアルで、まさかあのキャラが戦闘中加入?! 《落書き付》


 スライムっぽい見た目の召喚獣にジリジリ近付いていくと、召喚獣の方からもこちらに歩を進めて来だした。

 

 まだ私の武器(仮)の範囲には届かないけれど、やっぱり、どうしてもーー、焦る。


 私は不安げに、後方に控えているビー太くんを振り返る。


「び、ビー太くん! て、敵が近付いて来てる! 危なくなったら助けてくれるんだよね?!」


「……良いから前方の敵だけ見ていろ」


ーーはいはい、危なくなったら僕も手助けするとも。


「ぅあぁ、じゃ、じゃあ前進! も、もう次のターンでぶつかっちゃうけど行きます……!」


 敵の数は三体。その内の先頭にいた一匹が、とうとう、私の射程距離に、入ってきた!


「つ、突っつくんだから!!」


 攻撃は最大の防御。私はゲーム内では本来、とにかく突き進み殴り付ける派だった。猪突猛進型乙女、それが私。


「物理、物理……っ、えいやっ! そぉいっ!」


 渾身の突きを私は長い木の棒で繰り出す。ひょろひょろと棒の先が敵に当たり、ぶにゃんと相手を凹ませた。

 

 いけるかもしれない!!


 しかし、次は敵のターンだ。私は身構え震える。注射や採血されるときにやっちゃう、あの小さな脅え方が心にギクリと宿り、私の身体を固くさせた。


ーー敵は私に1マス近付いて隣接してきて。


 殴られた。ゼリーみたいなモノに、私は殴られた。……ちょっとだけ痛い。


 ビー太くんは相変わらず静観。こっちまで来てくれる気配すら、ない。


「ビー太くん、私、叩かれた! 生まれてはじめて、リアルにゲーム内の敵キャラに素で叩かれたよぅ……」


「良かったな、次はご主人の攻撃の番だ」


「はぁぁい、やりまぁぁす!」


 奥の敵たちも、私に迫りつつある。でもでも、ビー太くんはスパルタ式に私を戦わせる。

 

 しかし私は思い出した。

 

……あ、そっか、私の武器のリーチ、敵より1マス長いんだった。


「私達の攻撃フェイズ! さたんぬ、一歩下がって再度おなじ敵を突っつきます!」


「……ビー太、移動せずこの場に控える」


 私の武器の木の棒には全く傷みがない。ならばまだまだ、殴れる筈だ。私の体力も恐らく良好のまま!


 とにかく、私はビー太くんのところまでジリジリ後退しながら、目の前の召喚獣を一匹ずつ捌いていくしか、ない!!


「ふぉお、入れ、ダメージ!!」


 私は再び力を入れ、敵を突っつく。


 ぶにょりん、ぶるんプルン。


 敵は軟らかい体を波打たせ、その後すこし震えてから、体勢を若干だらしなく崩した。


ーー、よ、弱って行ってる……?!


 敵から、私へ攻撃が入る。小さな擦り傷に付いた汚れを水で洗い流した時のような痛みが身体に走った。


「じ、地味に……いたぁい……」

  

 私は小さく鳴いてから、三度みたび目の自軍の攻撃フェイズを迎える。


「たぶん、今回でこの一匹めの敵は倒せる! 行くよぉ、ビー太くん!」


「……、まぁ、頑張れ」


「行きます、1マス下がってーー、突く!」


 私は気合いを入れて、棒を握り、横に真っ直ぐ突き出した。

ーー真っ直ぐのつもりが、やっぱりヒョロリンとぶれてしまったけど、敵には届いた。

……すると敵は光に身を照らされながら、消えていった!!


 霞みが風にかきけされる、みたいに!


「やった、やったよ、ビー太くん! 一匹倒せたぁぁ!」


「……油断するなよ」


「でも、あと二匹だし。ビー太くんもいるなら、勝てるハズ……、って、え。え? え?!」


 私が敵召喚獣を一匹倒すと、私の前面から同じ召喚獣が2匹、後方からも3匹、色違いで出現してきた。


 ビー太くんとは分断される形となってしまう。


「うそ……、こんなの、私じゃ勝てないよ……」


 私は途方に暮れた。考えていた戦術が崩れ去ってしまい、勝ち目を見出だせなくなる。

  

「私、こんなチュートリアル戦でゲームオーバーになるんだ……」 


 私が絶望しそうになった、その時。


「ーーおい、ちょっと待てって! 他人の家の近くの畑跡地で、雑魚敵なんかと勝手に戦闘始めるなよな!」


 私の目の前に、少年と青年の間ぐらいの男の子が猛スピードで駆け込んで来た。


 え。え? ぇぇえええー?!


「召喚するぜ、幻魔獣……フェアリービースト!」


ーーぱぁぁぁぁぁーー


 男の子の手が光ると、眩しいホワイトオパールの中の煌めきのような色のゲートが男の子の頭上から現れ、ファンタジーな羽のついた、小さな食肉目のような見た目の召喚獣が現れる。


 そして男の子の指示のもと、座り込んでしまった私の前方の敵をなぎ倒して行った。


 男の子は私の後方に回り、私に聞いてくる。


「おい、立てるか? 俺んちの近くでなんでこんなに雑魚に囲まれちまってるんだ? 後方の敵はーー、って、あれ、お前の仲間か? もう片付いてるみたいだな」


 ……少し高い成長期の声の男の子。少し癖のある明るい茶色の髪と、オレンジの瞳。


ーー、かれ、は。彼は!


「しゅ、主人公クン?!」


ーー彼はこのシュミレーションRPGの男性主人公、その人だ!!


「はぁ? 主人公? 俺の名前はリード、リード・マスターキーだけど? お前……、いや、お姉さん。……誰かと俺を間違えてないか?」


「っ! ご、ごめんねっ!? り、リード君、だねっ、ごめん、お姉さんちょっと初めて戦闘に巻き込まれちゃって、なんか、そう、混乱……してて……!」


ーーこのシュミレーションRPGでは、主人公が男性か女性かどちらでもないか、をゲーム開始時に選べる。


 私は専ら女性主人公ばかりを選んでプレイしてきた。が、当然主人公を選択すると他の主人公はその周回中、ゲーム内に登場しなくなる。

 

 つまりつまり、ここでの本来の主人公は私ではなく『リード君』なのだ。


「あ、あの、私、私ーー! さたんぬ、って言います! 助けてくれて有り難う……!!」


 リード君は素直に笑う。


「さたんぬ……、って! 変な名前だな!」


 笑われながら、私は感動してしまう。


 だって、だって! 

 

 ゲーム本編で他者として出会うことが叶わない、男の子の主人公ヒーロークンと、私は初めて出会えたのだから!!



挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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