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第一話 実子はいないはずなんだが?

ちょっと思いつきで書きたかった話を書いてみました。

天正七(1579)年九月十六日


■筑前国御笠郡宝満城


「弥七郎、弥七郎。確りしておくれ」

「兄上、兄上」

「弥七郎よ!」


数刻後・・・・・・


「弥七郎!」

「兄上!」

「弥七郎・・・・・・」


「おいおい」

「うえーん!」

「弥七郎」


ここに、一人の戦国の雄に成るはずであった雛鳥が身罷った。



天正七(1579)年九月十七日


■筑前国糟屋郡新宮村 立花山城


「なに、弥七郎が身罷ったと?」

「はっ、昨夜高熱を発して薬師が手を尽くしましたが」

「そんなことはどうでも良いわ」


報告を受けた男は数日前まで弥七郎を熱狂的に婿養子に迎えると言っていた同じ人物とは思えぬほど淡泊に言葉を吐く。


「しかし、山で栗を踏んだ事が原因では?」

「はっ? その様なことぐらいで死ぬなど、武士としても恥ぞ」

「確かにそうですが」


「孫六(由布惟信)戦場で棘の付いた栗を足で踏み抜いたぐらいな事をいちいち近習の者に「これを抜いてくれ」など言うなど甘えておるわ、それをお主が抜く所か逆に栗を足に押し付けたのだぞ、これこそ常在戦場の心がけよ。」


「そうで、ございますが」

「気にすることでは無いわ。その程度で死ぬのであれば、誾千代の婿として戸次の家を任せられんわ」

「しかし、主膳兵衛(高橋紹運)様からは恨まれますぞ」


「ふん、高々元服したての若造が死んだくらいでは主膳兵衛は殿(大友宗麟)の事を考えて文句は言わん」

「そうでしょうか?」


「高々栗に殺されたなど恥かしくて言えぬわ、その程度の事よ」

「其れよりも、誾千代の婿を探さねばならんな」

「はっ」





{13歳の時、立花道雪の供と一緒に近くの山を散歩中、棘の付いた栗を足で踏み抜いた。当然の如く近習の者に「これを抜いてくれ」と頼むと由布惟信が駆けつけ、抜く所か逆に栗を足に押し付けた。叫び声を上げようにも近くの駕籠の中からは養父の道雪が眉を吊上げて見ており、叫ぶ事も出来ずに大変困ったらしい。}



令和五(2023)年10月6日


■福岡県柳川市新外町1-1 松濤園 立花宗忠


「ふう、ご先祖様が作った庭園で食事とはおつなものなんだけど、ホントに子孫なのか怪しいよな」

爺ちゃんは我が立花家が朝鮮出兵時に偉大なる宗成公が現地妻に産ませた子孫だとか言ってたけど。そんなんの歴史にも立花家の系図にも載ってないからな。


まあ、明治維新で名字つけたときに立花宗成から採用したのが本当だろうな。

まあ、けど、病気で余命宣言うけた爺ちゃんのたっての頼みで一番可愛がられている俺が代表で回っている訳だから、適当なことは出来ないよな。


ここ終われば、宗成公の墓所の福厳寺へ向かわなきゃだ。

まあ、歩っても20分かからないから楽だけど、明日は立花山城登らないとだから、タクシー使おうかな?


■福岡県柳川市奥州町32−1 福厳寺 立花宗成墓所 立花宗忠


これが宗成公のお墓か、へー誾千代さんのお墓もあるんだ。不仲だったとか聞いたけど、まあ死んだ後だから子孫が、違うか甥の系統が建てたんだろうから、色々あるよな。


お供えして、花あげて、線香をあげて。

「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


ん? なんか聞こえる?

「おい」

「ん?」

振り返ったけど誰もいないし。和尚様は本堂にいらっしゃるし?


「おい」

やっぱり聞こえる、というか頭に直接響く?

「おい」


『誰なんですか?』

「おお、やっと通じたか」

『気のせいじゃ無いのか』


「その通りだ」

『どなたですか』

「俺の名は、高橋統虎」


『高橋統虎って立花宗成?』

「そうとも言うが、俺が死んだのが天正七年九月だからな」

『えっ、天正七(1579)年九月って早すぎ』


「そうらしいな、お前の歴史では俺は長生きして波瀾万丈な人生を突き抜いたみたいだな」

『しかし、なぜ俺に?』

「それだが、どうやらお前は俺の血を引いているらしい」


『それって、爺ちゃんの話が本当と言うこと?』

「そうらしいな、俺は誾千代に邪険にされて、養父の道雪からもみじこくに扱われたらしい」

『色々、聞いてます』


「そこでだ、どうせ死んだんだ、子孫のお前に俺の力の全てを与える故、お前の魂の分身と俺の魂を混じり併せて、かの戦国の世で高橋統虎ここにあれとしてくれ」

『えっ、其れって戦国時代に転生と言うこと?』


「そうなるな」

『困りますよ、俺には家族もいるんですから』

「はははは、心配無用だ、この体と魂はそのまま現世へ残り、複製された魂を俺の体に入れるだけだ」


『なるほど、それならば、色々出来るかも?』

「であろう」





「どうだ、決めたか?」

『解りました、ご先祖様の無念を晴らして見せましょう』

「うむ、ただ一つだけ」


『なんですか?』

「うむ、養父殿と誾千代からは逃げてくれ」

『あーーーーーー、解ります』


「はははは、どうやら既に葬儀も済んで埋められたようだ」

『えええ、どうするんですか。墓から出てきたらホラーですよ』

「何とかなるだろう」


『いい加減だ!』

「頼むぞ、我が子孫よ」

『もう少し、何とかしてくれ!』





「もしもし、大丈夫かね」

「あっ、和尚様」

「あまりにも戻ってこないので見に来たらお倒れになっておられたので心配しましたぞ」


「ん、申し訳ありませんでした。やっぱり、秋なのに未だ未だ暑かったのを20分も歩いてきたから疲れたのかしれません」

「うむ、本堂で冷たいお茶でも飲んで休んでいきなさい」


「ありがとう、ございます」

「いやいや」


そういえば、なんか有った気がするんだけど、なんだったっけ?




天正八(1580)年一月十二日


■筑前国御笠郡宰府村西正寺 高橋紹運


「弥七郎、四十九日も参列できずにすまぬ」


「秋月や筑紫の対処に墓参りも出来ぬ」


「道雪との事も、殿の為に我慢したが・・・・・・」


ボコ、ボコ、ボコ、ボコ


「ん、弥七郎の墓が・・・・・・」


ボコ!!!


「暗い! 明るい! 空気が旨い!」


「弥七郎????」


「はっ、父上、何が????」


「弥七郎?」


「父上?」




天正八(1580)年五月二十日


■摂津国住吉郡堺 高橋弥七郎


「はるばる来たぜ、堺~♪」

「坊様、何をしてるんですか?」

「済まぬ済まぬ、鎮西の者にしてみれば、堺は夢の国なのだよ」


「へえ?」

同じ船から下りてきた男も、気にしないのか直ぐにいなくなった。


さて、生き返って墓から出たら親父にご対面、斬られないで良かったし、親父しかいなかったけど、会っちゃったからまた誾千代の婿かと思ったが、親父も思うところがあったようで暫く匿われて、こうして堺へ亡命できたんじゃ!


まあ、今の姿は令和の12歳の平均身長160cmほど有るからな、目立つ目立つ、まあ坊さん姿なので何とかなるけど。


さて、さて、これから色々あるからあちこち行って見て回るぞ、確か安土城って拝観料払えば見せてもらえるんだよな。確り見て絵を残して後生の資料にするぜ!

コロナ肺炎のリハビリに書いてみました。


続くか解りません。

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