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比較的最近更新した短編のまとめ場所

森のばけものと火を使う薬剤師

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2024/05/25



 薬剤師の男性、ヒオは困っていた。


 薬剤調合に使う薬草を採取するために、森の中へ出かけていたのだが。


 方向が分からない。


 つまり、迷子になっていたからだ。


 ヒオの家系は、火の魔法を操る魔法使いの家系だ。


 両親から魔法使いになりなさいと、毎日言われているがヒオは薬剤師になる道を選んだ。


 魔法使いになってしまうと、国で起きている大きな争いに、駆り出されてしまうからだ。


 ここで迷子になったと言われたら、また両親に強く文句を言われるのだろうと思い、ヒオはまいった。





 見知らぬ森の中で、かれこれ三時間。


 ヒオは、同じところをぐるぐる歩いていた。


 それは。


 気のせいなどではないようだ。


 ヒオはずっと、森の中をさまよっている。


 目印をつけた木がいくつかあるのだが、何度も同じ木を目撃していた。


 状況の解決を期待して、磁石を取り出してみたが、それはくるくるまわるだけ。


 地図は持っていない。


 地元の近くだからと、油断した。


 地元住民でも行かないような場所ーーいつもより深い場所に分け入らなければ、とヒオは深く後悔した。






 だから、だろうか。


 脱出の手がかりを求めて、ささいな変化にも敏感になっていたのかもしれない。


 歌が、聞こえてきたのだ。


 かすかな声だった。


 注意深く、耳を傾けていないときこえないほどの。


 そのうたはとても美しくて、綺麗だった。


 だから、ヒオは導かれるまま、その声の方へ歩いていった。


 そうして数分後、ヒオはその場所にたどりついた。


 そこは、小さな里だった。


 人の住む領域から離れて暮らす者達がいるような。


 あえて人の目を目をさけているような、そんな雰囲気が感じられた。


 古い里を回っていくと。


 一人の女性が目の前に現れた。


「もしかして迷い人ですか」


 女性がそう聞いたので、ヒオは頷く。


「今日はもう遅いので、よろしければこの里に泊まっていってください」


 ヒオは、空を見上げる。


 すると、先ほどまで明るかった空が薄暗くなっていた。






 暗闇の中、森を移動するのは危険行為だ。


 だからヒオは、その里に泊まらせてもらう事にした。


 最初に話しかけてきた女性の家にお邪魔させてもらい、ベッドを貸してもらった。


 疲れもあってぐっすり眠るかに思われたが、ヒオは夜中に起きてしまった。


 どうにも嫌な予感がしたヒオは、寝床から出て外に出る。


 すると、里の者達がどこかへ向かっていくのを見た。


 気になったヒオは、その先を、追いかけていく。


 




 やってきたのは村のはじにある、小さな祠。


 里の者達はそこに集まっていた。


 人々が呪文のようなものを呟くと、祠の前に黒い巨大な生き物が出現した。


 それは木々がからまりあってできた化け物だ。


 ヒオは恐ろしくなって腰をぬかしそうになった。


 視線の先、里の者達は餌を用意したと告げる。


 今日、里にやって来たばかりの、新鮮な餌だと。


 自分の事だと思ったヒオは、音を立てないように逃げ出した。


 しかし、森の中ではまた迷う事しかできない。





 そうこうしているうちに、ヒオが抜け出した事に気が付いた者達が、騒ぎ出した。


 捜索のためのたいまつがあちこちにともり、森の中が出らしだされる。


 ヒオは追い詰められて、人々にすぐに囲まれてしまった。


 何でもするから、どうか命だけはとらないでほしい。


 そう述べるヒオだが、人々は首を立てにはふらない。


 遅れてやってきた化け物に、食事の時間だと告げるのみだった。


 ヒオはあせり、ここで死にたくないと強く思った。





 だからヒオは、強すぎて使わないでいた自分の火の魔法を使う事にした。


 とても強い炎は、里の者達も、ばけものもまとめて燃やしていった。


 迷いの森が燃えた事でか、ヒオは無事に元いた所へ帰れるようになった。


 しかし、薬剤師の仕事は続けられなくなった。


 火の魔法に適正がある事がひろく知れわたってしまったため、国の大きな争いに巻き込まれる事になった。




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