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三宅町の赤いカブ  作者: Elena
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来客

 今日は突発でバイトを入れた。

 三宅町鉄道に関わるバイトだが、内容は、白上ダムの事務所で使っていた大型の木製本棚と、木造の倉庫の解体。

 朝の貨物列車で、使われなくなった鉄道コンテナが、倉庫として再利用されるため運ばれ、帰りの貨物列車で、それまで使われていた木造の倉庫や木製の本棚を持って来て、ここで壊すというのだ。

 壊すと言っても、釘やら金属類を剥し、木と金属を完全に分けて、木はチップにして再生紙、金属は再製鉄として使うので、やみくもに破壊することは出来ない。

 カイの担当は、木製の本棚を壊す事。

 無蓋車のトラ45000に乗せられた木製の本棚を、他のバイトや鉄道職員と共に壊す。

 壊して、木は裁断し、それをコンテナに積み込む。

 かなり重労働だったが、終わってみればやりがいもあったし、日当も1万2千円と稼げた。

 そして、赤金の家に帰宅したのだが、見るからに様子がいつもと違う。

 門を潜った時も違和感があった。

 だが、何がどう違和感があるのか分からない。

 館に近付くうちに、違和感の正体が分かった。

 そして、その場でハンターカブを止める。

「誰?このタイヤ痕の形状は、俺のハンターカブじゃないぞ。」

 カイが感じた違和感。

 それは、路面に残っていたタイヤ痕。

 基本的にはタキが掃除しているが、普段なら、タイヤ痕が残るような事を赤金の家の庭先でやる事は無い。

 なので、タイヤ痕が残っている時点でおかしいと感じるのだ。

 そして、タイヤ痕の形状から見てもバイクのタイヤ痕。

 タキのインスパイア、美月のカムリの物でもない。

 玄関から、タキが出て来た。

 普段、庭の手入れに使う電動カートに乗って近付いて来る。

「おかえり。みんな待ちかねているよ。アカネから連絡があった時はびっくりしたよ。君のバイク仲間を招待したい。それも今夜とは。美月も驚いて飛んで帰って来るぞ。さぁ、バイクを片付けて、着替えてリビングに来るが良い。」

(バイク仲間?まさか!)

 カイは、「まさか」と思いながらも、ハンターカブをいつも止める場所に止めると、自分の部屋に行き、普段着に着替えて、リビングルームに行くと、

「お疲れ!」

 と、疲れている時にやられるとうんざりするアクセル全開娘の声が聞こえた。

「お前ら―。」

 カイ、呆れ返る。

「アカネが招待してくれた。」

 と、神梅がアカネに視線を向ける。アカネは頭を掻く。

「最初はさ、館の前でバイクのロケーション撮影ってことだったんだけど、話ししていたら大きくなっちゃって、みんなでお泊り会になっちゃったとこういう分け。」

 アカネが経緯を話す。カイは「もう何でもいいよ。」と、力が抜けたように言った。

 美月のインスパイアが帰って来た。

 どうやら、三宅町市まで行ってオードブルセットを買い込んできたらしい。

「アカネの方から、こんなことをしたいと言われるとは、思わなかったよ。」

 と、美月が笑う。

「明日は雪降るのでは?あっ―。」

 冗談を言ったカイ。だが、この時カイはまだ、三宅町市でハンターカブを乗り回すのに必要な知識が不足している事に気付いた。

(そういえば、タイヤチェーンの巻き方知らねえや。それ以前に、タイヤチェーンを持ってねえや。)

 と。

 タイヤチェーンを所持しておらず、おまけに巻き方を知らなければ、冬場に雪が降った際、バイクで通学できないし、身動きが出来なくなる。

 突発での宴となった夕食。

 だが、カイはタイヤチェーンをどこで購入するか、巻き方はどうすればいいのかという事で一杯だった。

「チェーン?明日、買いに行こっか。それで、その時に巻き方、練習しようよ?」

 と、根利が横から言う。

「それに、一緒にアカネも来てくれれば、アカネの勉強にもなるじゃん?」

「そうね。一緒に行こうかな?」

 と、アカネ。

 根利とアカネ、意外な事に波長が合うらしい。

(人間、蓋開けねえと分からねえことだらけだな。)

 と、カイは思った。


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