バイク同盟との昼食
翌日、昼休み。
アカネは弁当箱を持ち、緊張しながら廊下を歩く。
廊下を歩き、昇降口からバイクが止まっている場所まで歩く。
そこには、バイク同盟のメンツと、そのバイク同盟の一員となったカイの姿。
耳を澄ますと、誰かがスマホで音楽を流している。
大塚愛の「プラネタリウム」だ。
「群馬の東吾妻に住んでいる兄貴の車仲間が好きらしいんだこの曲。」
と、誰かが言っているのも聞こえた。
「あれ?今日は駅弁?」
と、カイの声。
「ああ。仙台土産で親が買って来た。仙台駅の牛タン弁当。温かくなるんだが、紐引っ張って待たなきゃならねえ。」
と言ったのは、自衛隊のバイクに乗っている大間々。
美月に言われて、カイの周りのバイク同盟とも仲良くしようと考え、美月の言ったように、昼食を一緒にと思ったのに、今までが今までなだけに、どうやって合流すればいいか分からない。
「ポン」っと後ろから叩かれるアカネ。
「何やってんの?」
根利だった。
「付け馬?それとも無料車検?生憎、私達叩いても、麻薬も違法改造も出て来ないよ。みんな保安基準取っているから。」
言いながら、根利はアカネの手に弁当箱があるのに気付いた。
「もしかして、昼飯食べる場所探してた?気分転換に外で食べようとしたと?」
「えっいやまぁその―。」
「なら、ついでよ。おいで。一人で食べるなよ。」
と、根利はアカネの腕を掴む。
アカネとカイの関係を知っている根利。
なので、根利はアカネが本当はカイと仲良くしようとしている上に、カイもアカネとどう接するべきか悩んでいるのだと察していた。だから、根利は機転を利かせて、少し強引だが、アカネを自分のテリトリーに入れてしまおうと思った。しかし、やはり今までが今までなだけに、自分は良くても、それ以外がOKと言うかが不安であった。
「ん?」
と、お茶を飲んでいたカイが気付いた。
「なんだ?お客さんか?」
大間々が根利に冗談を飛ばす。
「こいつ、気分転換に、表で飯食おうとしたけど、私達が居たから、どう声かけるか迷っていたのよ。気になるし目障りになるくらいなら、強引にでも引き込んじまおうと思ってね。」
根利が言うのに、アカネは恥ずかしそうに頷いた。
カイは「あそ。勝手にすればいいじゃん。」と言った。
「じゃっじゃあ―」と、アカネは鉄パイプの上に座ろうとしたが、カイが「座れよ」と、CT125から降りて、座席を明け渡す。
「いくらテメェのケツが魅力的でも、鉄パイプに直接座ったら冷たいし、痛みが来るだろ。俺が鉄パイプに座る。下に、ハンカチ噛ませりゃ少しマシだ。」
「あのよ。飯食うタイミングで下品だろそれ。女子にケツがどうしたこうした言うお前も極端。ていうか、倫理的に問題あり。」
黒保根が言う。
その通りだ。カイもまた、根利がアカネを不意打ちで連れて来たのだから、どうすればいいか分からず、こんなぶっきらぼうで下品な事を言ったのだ。
「実は、私、カイと一緒に住んでる。」
「ブゥーッ!」
いきなり大胆にもカミングアウトするアカネに、カイは噴き出す。
「転校してきた辺りから。カイの父と私の家が仲良くってその―」
と、アカネは自分の家とカイとの繋がりを話す。
カイは止めさせる事を一瞬考えたがそのままにした。
いつかはきっと話す事になるのだ。だったら、不意打ちだけど、洗いざらい話してもらった方が後で楽だと思ったからだ。
真相を知っている根利は、驚いても居ない。
だが、それ以外のメンバーは驚いている様子。
「だから、修理手伝うよって好意に答えられなかったんだ。今までが今までなだけに、その―。」
カイ、項垂れる。
「まぁそういうことか。ならさ、ちょっと頼みがある。」
と、大間々がアカネに何か言う。
「えっそれなら別にいいけど―。本当にそれでいいの?」
「ああ。いいさ。」
アカネは随分安上がりな事だなと思い、カイは何が始まるのか分からず困惑した。




