アカネの変化
アカネは、ハンターカブで出かけて行ったカイを見送ったのだが、見送った後でなぜ自分も一緒に行かなかったのかと後悔する。
しかし、一緒に行ったところで、バイクが無ければ、バイク同盟の邪魔者にされるのが関の山だし、足が無ければ着いていけない。
アカネとカイの通う高校は、バイク通学を許しているし、生徒の交通事情や経済事情等の観点から、バイク免許取得助成制度もある程だ。
「気になるのか?カイの事が。」
と、母の美月が言う。
「気になるというより、何か引っかかっている。」
「それは気になるってことだよ。」
タキも言った。
「ついて行きたかったんだろう?」
と言うのに、アカネは頷いた。
「でも、バイク無いし、免許も無い。」
「なら、取りに行けばいいし、バイクも買えばいい。」
「-。」
「カイの周りの目か。カイは確か、バイク仲間とバイクの周りで昼飯を食べてんだよな。」
美月が言うのに頷いた。
「なら、それに付き合えばいい。それが出来なければ、バイクに乗るなんて無理だね。音也はこう言っていた。「周りの信頼無くして、バイクを走らせるのは無理だ。バイクは一人で走る物ではない。」ってね。」
タキがそう言った時、カイが戻って来た。
タンデムシートには、出る時には積んでいなかった、10Lのポリタンクが積んである。
「山頂駅に忘れ物って届いていたらしい。また、勝手に水も汲んで来ちまったんだが―。」
と、カイは少しビクビクしながら言った。
アカネはまた、山を登る楽しみが無くなったと思ったが、カイの好意を無下にすることが出来なかった。
なので、
「ありがとう。」
と小さく言った。




