バイク同盟の一員
バイクを壊してまで、自分のために動いたカイの背中を間近に見たからか、アカネは妙な感情に捉われていた。
だからか、アカネはネットでカイのハンターカブに搭載されていた、あの赤い郵便ボックスが無いかと調べる。
しかし、そんなものは無い。
どこを探しても無い。
ダメで元からで、美月とタキにも相談を持ち掛ける。しかし、こればかりは無理だと言う。
「郵便局に伝手はあるにはあるが、あの郵便ボックスってのは業務用の物だ。故に、バイクの代替があっても、そのまま使えるのなら使うという事が多くてな。」
と、どこかに連絡をしたらしき美月が言う。
「音也もまた、あれに付けていた郵便ボックスは、排ガス規制やら、郵便需要の減少で廃車になって使い道が無くなったって言う物を引き取った物だと言っていたな。」
タキもかつて、音也から聞いた事を思い出しながら言った。
「-。」
そんなに貴重な物が、父の形見であるのなら、カイも大切に使いたいと考えていたのだろう。それを、自分のせいで壊してしまった。いや、アカネが壊したようなものだ。
夕食後、アカネはカイの部屋に行く。
カイは電話中だ。
話し方からして、相手はあの、アクセル全開娘だろう。
「ああ。直した。明日には、ハンターカブで行く。でも、あの―」
と、カイは話していた。
「すまぬ。」
「いいってことよ。だって、カイはもう、私達バイク同盟の一員だから。」
「えっ―。」
「一緒に筑波サーキットまで行って、一緒にサーキット走って、私達とここまでつるんでいるのに、まだ私達バイク同盟の一員だって思わないの?」
「それ、は―。」
「だから、困った時はお互い様よ。カイ。」
電話が切れた。
カイは、「バイク同盟の一員か。こんな事、言われたの初めてだ」と、溜め息交じりに言った。




