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三宅町の赤いカブ  作者: Elena
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アクセル全開娘と孤高の娘

 屋上へ通ずる階段の踊り場。

 根利は孤高の娘をここに連れ出していた。

「カイに、何をした。」

 と、根利が詰め寄る。

「-。」

 黙り込むアカネ。

「私の仲間に傷を付けたのなら、許さない。バイクまで壊したのよ。もし、その原因があんたにあるのなら―」

「どうするというの?」

 鋭い目付きで、根利を見るアカネ。

「殴るなり、蹴るなり、焼くなり、煮るなりすればいい。」

「あんた、分からないのね。」

「ええ。貴女が何を言っているのか、まるで分らない。」

「バイク事故を軽く思ってるでしょう。その態度。バイクの事故ってね、自転車で転ぶってのとは、訳が違う。一歩間違えれば、人が死ぬんだよ。整備に関しても、生半可な事したら怪我する。気の緩み、ミス、そうした事が命を落とす事だってある。バイクはそうした危険と隣り合わせの乗り物。気楽に乗る玩具じゃないんだよ。私達を、玩具で遊んでいると見てるのなら、そんな目で見た挙句、それが原因でカイが事故ったのなら、責任の一旦はあんたにある。」

 一瞬、孤高の娘はビクついた。

 だが、

「なら私にどうしろと言うのよ?仮に、カイが事故ったのが私のせいであったとしても、私に責任の取りようはない。修理手伝おうとしても、カイは拒絶する。どう責任取ればいいのよ。そこまで言うなら。」

「カイに何をさせたのか、教えて。」

「何をって―。私は知らない。」

「知らない?神梅と大間々が、黒部山の湧き水でカイから事故の連絡を受けた時、あんたそこに居たのでしょう?」

「だから、知らないって。」

「なら、ロープウェイの駅に大間々があんたの名前入りポリタンクを届けたのは何?」

 アカネ、顔が青ざめる。

 あの時、アカネは動揺して、ポリタンクを落として逃げたのだ。

「私は、黒部山の湧き水で淹れた紅茶を飲むのが、嗜みの一つ。でも、その水を、カイのせいで切らせた。だから私はカイに抗議した。「どうしてくれる」って。」

「それはいつ?」

「先週のこと。」

「-!」

 根利、この瞬間、責任は自分にもあると思った。

 自分が、二ノ山の事を言った。そして、それと同じくして、二ノ山の水を切らせたとアカネが怒った。だから、カイが責任を感じ、下見を兼ねて、慣れないオフロード路面の二ノ山を登って事故を起こした。そうだとしたら、責任は、目の前にいる孤高の娘だけではなく、状況を知らずに、二ノ山を教えた自分達にもある。

「分かった。でも、なんでカイに水切らしたって怒った?」

「それが、自分でも分からない。」

「分からない?ふざけるな!それは、あんたが気付いていないだけで、カイが気になるからじゃないの!?」

「それは―。なら、根利。あんたはどうなのよ!」

「わっ私は―。バイク仲間として、大切に思っている。恋愛感情とか抜きで。」

「なら、何その、一瞬の動揺は!?そのくせ、筑波サーキットでカイを振って―」

「まっえっ?何の話?」

「告白されたんでしょ!?筑波サーキットで!見てたんだから!みんなでサーキットを走った後、カイがあんたに告白したの!」

「何度も言わせない!告白じゃないよ。カイが「筑波山まで行ってから帰りたい」って言ったのよ。筑波サーキットから筑波山って結構近いように見えるから、どうせなら行きたいって思ったらしい。でも、筑波サーキットから筑波山までは、30キロ近くあるから、無理って言ったのよあれは。」

「嘘よ!」

「なら、地図見て調べてみたら?」

 根利が言うので、アカネは本当に調べた。

 そして孤高の娘、勢いを無くす。

「じゃあ、私、勝手に―。」

 アカネは真っ赤になった。

 連れ出した根利も、どうするかと困る。

「ああ、その。カイには黙っているから。それに、その―。でも、あの、責任はあんたには無いって事。だね。それが分かったから、いい。その、いきなり連れ出してゴメン。」

 と、根利は頭を掻いて言う。

「いや、その、筑波サーキットの件が分かったから、お相子よ。」

 アカネも目を泳がせながら言った。


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