仲間
クラスに入ると、カイから電話で、二ノ山で事故を起こしてハンターカブが壊れたという事を聞いた神梅を始め、大間々、相生、根利、黒保根がカイの所に集まって来る。
「怪我は無い?」
と、根利。
「痣作ったが、まぁ大丈夫。」
何よりも先に、根利がカイの身体の心配をする。
バイクと言う乗り物は、自転車以上に転倒したら大怪我するリスクがあるし、もし、人とぶつかったら、相手を殺す事もある。
「それで、ハンターカブは―。」
と、カイはハンターカブの損傷状況を言う。
「マフラーは、ヨシムラのフルエキゾーストマフラーに意図せず交換。まぁ、ここまでならば、別になんてことないって思うだろう?」
と言うカイ。皆頷いた。
「まだ、ミラーやライト等の小さな部品がな。今日帰ったら取り付けさ。終わると良いんだが―。」
ここまで言ったカイは、声のトーンが落ちた。
ここまで、ずっと触れないでいた事。
「郵便ボックスが―。」
と、カイ。
「まっまさか―。」
根利が青ざめる。カイは頷いた。
「郵便ボックスがこんな状態だ。もうダメだこれは。」
カイは言いながら、郵便ボックスの写真を見せる。
「うわっ」と、根利が絶句する一方、二ノ山の黒部山の湧き水で、カイから電話で事故の第一報を聞いた神梅は、下見だと言っていたにも関わらず、壊れた郵便ボックスの中に水が入ったポリタンクが入っているのが写っているのを奇妙に感じた。そして、電話で聞いた時、一緒に居た大間々が、誰かがポリタンクを落として逃げ出したのを見、ポリタンクを拾い上げると、それには赤金アカネの名前が書いてあった事を思い出した。
大間々がそれを回収して、二ノ山ロープウェイの駅に預けたのだが。
「あのさ―」
と、神梅がその一連の事をカイに話した。
そして、カイが頻りに、赤金アカネの事を気にしていた事と何か関連があるのではという憶測が、自分達の間であるという事も言った。
カイはビクっとしながらも、「関係無い」と言った。
だが、その横目で、アカネを見ていた。
アカネもまた、気まずいといった反応をしている。
ただ一人、真実を知っている根利は敢えて何も言わない。
朝のホームルームが始まり、授業が始まる。
そして、昼休み。
カイは、ハンターカブが無いのだが、それでも、皆のバイクの所で弁当を食べる。
「あのさ、放課後、修理手伝いに行こうか?」
と、黒保根が言う。
「俺だって、手伝うぞ。」
大間々も続き、
「私も行く。」
と、相生。
「私だって、行くよ。」
神梅も言った。
だが、カイは真相を知られたくないという思いから、首を横に振ってしまった。
「そう。でも、もし何かあったら遠慮なく言って。カイは、私達バイク同盟の仲間だから。」
「えっ―。」
それは、カイにとって耳を疑う内容。
だが同時に、カイが友達として認められたと思った。
「ああ。カイはもう俺達の仲間だ。筑波サーキットまで行った仲だろう?」
大間々も言った。
「ありがとう。」
と、カイは微笑んだ。
「そうだ。お前、どこから登ったんだ二ノ山。」
黒保根が言う。カイは白上宮ノ下登山道と言う。
すると、皆が「えっ」と驚きの顔を浮かべたが、何も言わなかった。
ところで、ここの会話には誰かが居ない。
アクセル全開のあの娘がいない。




