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三宅町の赤いカブ  作者: Elena
34/55

ハンターカブの状態

 翌朝になっても、アカネは不機嫌なままだった。

 皆で一緒に、朝食なのだが、カイとは目を合わせようともしない。

「おい」と、美月が目でカイに言うのだが、カイもまた、謝ろうという気にもならない。

 朝食後、カイは見たくない物と向き合う。

 かなり派手に損傷した、父の形見であるCT125ハンターカブ。

(バイク好きのクラスメイトの経験もあって、二ノ山の水の話題でアカネとの仲を深めつつ、赤金の家に住む条件を満たそうとしたのが悪かったのか。神梅のカブでも登れるのなら、ハンターカブは余裕と考えたのもいけなかった。まぁ、アカネとの仲を深められればなんて、余計な事考えたバチが当たったのだろう。それにしたって、あの扱いは酷い。)

 と、カイはまたも憮然。

「ありゃぁー。」と、美月の声。

 カイは振り返って、

「二ノ山の湧き水を汲みに行って、こうなりました。」

 と言う。

 美月の後を、アカネが「汲んで来る」と言って通りかかる。

 アカネも、一瞬、カイに視線を飛ばしたが、その後、カイのCT125ハンターカブの惨状が目に入ったらしく「えっ」と口の中で言ったが、そのまま、軽装ながら登山用の装備を携えて、小熊駅へ向かって行った。

 見送りがてら、庭の手入れに出て来たタキも、カイのCT125を見て「あれま」と言った。

 カイのCT125ハンターカブは、ヘッドライトが割れ、ミラーも片方が折れている。そして今、大きな部品もいくつか外している。

 1つは、フロントタイヤとリアタイヤ。

 パンクしたので、携行していたパンク修理材で応急処置をし、その後始末のために外した。チューブ式タイヤなので、パンク修理材を入れたチューブは産廃として処分するが、スペアのチューブがあるので、それで対処。バーストで損傷したタイヤは、町まで行って買わねばならないので、この後、買いに行かねばだ。

 だが、もう1つ、こちらは大変だ。

 カイのCT125の象徴である、郵便ボックス。

 こちらには、大穴が空いてしまい、修復不可能だった。


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