ハンターカブの状態
翌朝になっても、アカネは不機嫌なままだった。
皆で一緒に、朝食なのだが、カイとは目を合わせようともしない。
「おい」と、美月が目でカイに言うのだが、カイもまた、謝ろうという気にもならない。
朝食後、カイは見たくない物と向き合う。
かなり派手に損傷した、父の形見であるCT125ハンターカブ。
(バイク好きのクラスメイトの経験もあって、二ノ山の水の話題でアカネとの仲を深めつつ、赤金の家に住む条件を満たそうとしたのが悪かったのか。神梅のカブでも登れるのなら、ハンターカブは余裕と考えたのもいけなかった。まぁ、アカネとの仲を深められればなんて、余計な事考えたバチが当たったのだろう。それにしたって、あの扱いは酷い。)
と、カイはまたも憮然。
「ありゃぁー。」と、美月の声。
カイは振り返って、
「二ノ山の湧き水を汲みに行って、こうなりました。」
と言う。
美月の後を、アカネが「汲んで来る」と言って通りかかる。
アカネも、一瞬、カイに視線を飛ばしたが、その後、カイのCT125ハンターカブの惨状が目に入ったらしく「えっ」と口の中で言ったが、そのまま、軽装ながら登山用の装備を携えて、小熊駅へ向かって行った。
見送りがてら、庭の手入れに出て来たタキも、カイのCT125を見て「あれま」と言った。
カイのCT125ハンターカブは、ヘッドライトが割れ、ミラーも片方が折れている。そして今、大きな部品もいくつか外している。
1つは、フロントタイヤとリアタイヤ。
パンクしたので、携行していたパンク修理材で応急処置をし、その後始末のために外した。チューブ式タイヤなので、パンク修理材を入れたチューブは産廃として処分するが、スペアのチューブがあるので、それで対処。バーストで損傷したタイヤは、町まで行って買わねばならないので、この後、買いに行かねばだ。
だが、もう1つ、こちらは大変だ。
カイのCT125の象徴である、郵便ボックス。
こちらには、大穴が空いてしまい、修復不可能だった。




