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三宅町の赤いカブ  作者: Elena
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アカネの怒り

 カイはなぜ怒鳴られたのか分からない。

 ようやく水をウォーターサーバーに移し終えたが、理不尽だ。

 美月が、アカネの部屋に向かって行ったが、何がどうなっているのか分からない。

 怒鳴られて、その理由が分からぬカイは憮然。

 だが、怒っているのは、見たくない物を見ないためかもしれなかった。

 そして、見たくない物を作ったにも関わらず、怒鳴られた。

 分けの分からない感情が入り乱れる。

「とにかく、風呂に入れ。今、沸かすから。」

 と、タキは風呂を沸かしに向かった。

 カイは憮然としていても仕方ないので、風呂が沸くまでの間に、ヘルメットの掃除をする。

 自室で、ヘルメットを適当なところに置き、泥まみれの衣服を袋に入れ、新しい服に着替え、ヘルメットを磨く。

 幸い、バイザーも割れていないし、小さい傷は付いたもののダメージも無さそうだ。

 身体も痛むが骨折はしていない。だが、腕や足等に擦り傷を負っていて、それが痛む。

 タキが「風呂沸いた」と呼びに来た時には、ヘルメットの整備は終わった。

「一体、何があったのだ?」

 と、タキ。

「事故を起こしたのなら、警察に―」

「それは経験済みです。浜松の時の当たり屋。」

 カイ、まだ憮然としている。

「二ノ山に登ったのか?」

「何でもいいでしょう。」

 風呂場まで付いてきたタキ。風呂場で、美月が待っていた。

「なんてことをしてくれたんだ。」

 と、美月。

「何がですか?」

「娘の楽しみを、奪ったのだ。君は。」

「何の話ですか。分かるように説明してください。」

「アカネは確かに、二ノ山の湧き水で淹れた紅茶やコーヒーが好きだ。だがそれは、自分の足で登って汲んできた湧き水に限るのだよ。」

 ようやくカイは、アカネが何に腹を立てたのか分かった。

 アカネは自分が水汲みに行く楽しみを奪われたと怒っているのだ。

 しかし、それならどうして、「カイのせいで湧き水を飲みつくした!」「どうしてくれる!」と言いたげな言い方をしたのか理解出来ない。

 なので、アカネが怒った理由は分かったものの、今度はそこに至る過程や、怒るならどうしてそんな態度を取ったのだと言う怒りが込み上げて来た。

「なんですか。道路標識の補助標識だってもっと分かりやすいですよ。それ、後出しじゃんけんもいいところですよ。タキさんだって、アカネに同調するように言ったくせに。」

「とにかく、謝っとけ。」

 美月は言うが、

「嫌です。」

 と、答える。

「なら、出て行くか家を。」

「どうしてそうなるのですか?」

「この家に世話になる条件。カイ。君はアカネと友達になって貰う。」

「だから、それをしようとしたのです。」

「ケンカしていて、絶交するのなら、条件違反だ。道交法で条件違反はなんだ?道路交通法違反だろう?」

「条件違反はそんなデカイ物では―。」

「道交法違反であることに変わりない。それとも、1点や2点の違反は、違反にならないのか?そんな考えで、バイクを走らせているのか?」

「グッ」と、唾を飲むカイ。

 理不尽に怒られてはいるが、だが、そこに至るまでの間に登った二ノ山は確かに、考えが甘かったと思った。そして、考えが甘かったために、今、目を背けたい状態になってしまったのが、カイのCT125だ。

「とにかく、よく謝っておけ。今回は見逃すが、場合によっては、追い出すぞ。」

 かなり怒気を強めて言う美月。

 カイは理不尽だが、従うことにした。

 だが、今日謝る気にはならない。少なくとも、アカネに自分のハンターカブの状況を見せてから、謝る気になった場合、謝る事にした。


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