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三宅町の赤いカブ  作者: Elena
32/55

アカネ怒る

 委員会の要件は、長くて無駄な話のために遅くなってしまった。

 なので、三宅町駅まで全力疾走する羽目になった。

 一方で、バイクや自転車通学の奴等は、そんなものには無縁。

 長無駄話をしていた奴のほとんどはそんな奴だった。

 三宅町駅の改札に定期を見せて突撃し、どうにか間に合ったJR線からの乗り入れ列車。その車内に、アカネの母の美月と、家令のタキを見つけた。

「まったく。長いだけの内輪話。聞いてて不愉快。挙句、私を玩具にする。キレちゃった。」

 と言いながら、ドカッとボックスシートに座るが「痛っ!」と飛び上がる。

 新型のJRのハイブリッドディーゼル車らしいが、椅子が固いのだ。

「赤金石油としても、この車両の三宅町鉄道乗り入れに少し出資はしているんだ。まぁ、あまりにもそういう声が上がるのなら、改善点として挙げておこう。」

 と、美月。

 三宅町鉄道は、全線非電化のため、ディーゼル車が走っているが、ディーゼル車に使う燃料は、アカネの母の経営する赤金石油が仕入れた物。一部は、三宅町の油田で産出された物でもある。

 美奈川渓谷の信号所で貨物列車と出会うが、DD51に連結されたタンク車もまた、日本石油輸送からのおさがりのタキ43000やタキ35000で、これにもまた、赤金石油の私有貨車が混じっている。尚、赤金石油の私有貨車の全般検査は三宅町鉄道に委託している。

 小熊駅に着いて、列車を降りる。

 くだらない無駄話に付き合わされ、華族で大金持ちの家の事でいじられた委員会に対する不満な思いを何とかしようと、アカネは紅茶を飲みたい気分。だが、肝心の水を昨日切らした。どこかの居候のために。

(まぁいい。明日、山登って来ればいい。10Lのポリタンク一つを背負って、ロープウェイで登って、黒部山の湧水まで歩いて汲む。それだけでも、ストレス発散になる。)

 そう思いながら、家の敷地に入り、玄関を開ける。

 リビングのキッチンに向かうタキは、そこにズタズタになったカイの姿を見つけた。

 カイは「痛てて―」と言いながら、ポリタンクの水をウォーターサーバーに移そうとしていた。

 着替えたアカネも、リビングに出て来て驚いた。

「なっ何してんの―」

「-。二ノ山登って、汲んできた。」

 と、言いながらカイは「痛っ!」と悲鳴を上げる。

 身体が痛む。

 見ると、ヘルメットが普段使用しているポリタンクの横に転がっていたが、僅かに汚れている。そして、なぜ、そこに置いてあるのかというと、そこに置いてあった新聞紙を敷いて、汚れが周りに広がらないようにしているためだった。

 悲鳴を上げるカイ。ズタズタの身体と装備。

 それを見たタキと美月は(登山中に事故を起こしたのか?)と思った。

(もし、そうならば、責任の一端は私にある。)

 と、タキは青くなった。

 しかし、アカネはむしろ、怒りを募らせた。

 楽しみにしていた、登山の意味が無くなった。それも、自分をいじくりまわした奴等と同じく、バイクに乗っている奴に。

「なんで勝手にそんな事するの!私の楽しみ取るな!」

 と、怒鳴って、自分の部屋に閉じこもってしまった。


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