準備
チャイムが鳴る。
「じゃっ行こっか。」
相変わらず、アクセル全開娘の根利に腕を引っ張られる。
今日はバイクを見ながら、皆で昼食だ。
「あのさ。」
と、カイが切り出す。
「二ノ山って登りやすい?」
「私のカブで登れるんだから。カイのハンターカブなら余裕よ。」
神梅が自分のスーパーカブを指して言った。
ささっと食べ終えたカイ。郵便ボックスには、空のペットボトルを数本と、手ぬぐいを養生テープで止めてある。
「気の早い兄ちゃんだねぇ。荷物輸送に備えて?」
根利が横から覗き込む。
「二ノ山は湧き水が美味いって聞いてね。この後、100均で10Lのポリタン買う予定。」
実際にはそのままその足で、二ノ山を登るつもりだ。
放課後、アカネが委員会の集まりに行く。カイは家路。だが、どうしても確認したい事があった。
「アカネ。」
と、声をかける。
学校では声もかけないので、アカネは少し驚きつつも、
「何?」
と、ぶっきらぼうに答えた。
「いや―。」
声をかけたものの、何と言えばいいのだろうか?
「いや、せっかくだから、美月さんの提案で、お汁粉でも一緒に―」
(なにがお汁粉だ馬鹿野郎。)と、言いながら思う。
アカネはかなり不機嫌な顔をした。
「悪いけど、委員会で今日の帰りは夜。」
と言って、とっとと委員会に行ってしまった。
だが、聞きたい事は聞けた。
(つまり、夜までに戻ってくればOKだ。ここから100均まで行って、その後一旦、家に寄って着替えて出直して、山を登る。降りて来る頃に夜になる計算だ。間に合う。)
そう、思いながら帰路に着き、100均でポリタンクを購入すると、三宅町鉄道に沿って走り、一旦は帰宅。
タキも今日は居ない。
なので、着替えた物を自分で始末した後、再び、CT125に跨ってエンジンをかけると、赤金の屋敷から程近い、白上宮下口からCT125を二ノ山の道へ突入させた。




