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三宅町の赤いカブ  作者: Elena
23/55

レーサー根利

 予選に出て行った根利は、ひたすらにタイムアタックをしていく。

 予選は20分間。

 その間に出たベストタイムを基準に、スターティンググリッドが決まる。

 カイは筑波サーキットのオートレース養成所には来ていたが、コース2000には入った事は無い。

 ピットの屋根上からコースを見ると、根利のCBR250Fが最終コーナーを立ち上がって、メインストレートを駆け抜けていくのが見えた。そして、1コーナーに飛び込んでいく。カイは身体を捻って、根利を追う。

 S字を抜けて1ヘアに飛び込んで行く様を見ていたのだが―。

「ちっ!」

 と、カイは舌打ち。

「なんでここに居るのか、気になったかね。」

 赤金美月は「フフっ」と笑った。

「まぁ、私が連れて来た。って言うべきだろうね。」

「あの、実は自分。赤金の家に住んでいる事は、内緒にしているのです。」

「なぜ?なら、ここで言えばいいのでは?」

「それがその―。」

 実の母の前で、娘がクラスメイトから虐げられるような目で見られていて、そいつと一緒に住んでいると言ったら、また人間関係が壊れるのではと恐れていた。なので、内緒にして欲しいと強く言った。

「おーい!」

 と、ピットレーンから大間々が呼ぶ。

「ピットインするってさ!調整したらまた出るってよ!降りて来い!」

「今行く!」

 と答え、階段から16番ピットに降りた。

 そこへ、根利のバイクが戻って来た。

 マシンセッティングをこなしてまた出て行く。

 が、何も出来ずのカイ。何をすることも出来ずだったカイ。しかし、

「いってらっしゃい」と一言、根利に言う。

「行ってきます。」

 根利は頷いた。

「今の俺には、無事を祈る声をかけてあげる事しか出来ない。」

 と、ピットロードを出て行く根利の背中を見て歯を食い縛って言った。


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