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三宅町の赤いカブ  作者: Elena
20/55

筑波へ出発

 筑波サーキットに行く日は朝早い時間に集合だった。

 まだ、夜も明ける前という時間に、赤金の屋敷を出発したカイ。

 横目に三宅町鉄道の線路を見ると、保線モーターカーが作業をしていて、まもなく踏切に差し掛かりそうだった。なので、踏切で一時停止して先に行かせる。

 道路交通法で「踏切では一時停止して窓を開けて音を聞いてしっかり安全確認しろ」とされている理由に、普通の列車なら踏切警報機が作動するのだが、保線車両の中には構造上、踏切警報機が作動できない物もあるからだ。

 そうでなくても、カイは昔から、踏切では一時停止するものだと認識していたので、自然と、踏切で一時停止しているのだが。

 三宅町市の町が見えて来たが、まだ町は暗い。

 集合場所である駅前広場に到着するが、まだ、誰も来ていないので、カイは横目に、三宅本町駅の構内を見ている。

 始発の貨物列車が到着し、それに伴う入換作業が構内で行われ、並行して、朝一番の列車に入るであろう、キハ40系気動車の点検作業も行われている。

「ひぅーっ」

「わっ!」

 耳に息を吹きかけられて飛び上がると、それは根利だった。

「まったく、どこにもいないって思ったら。もしかして、電車好きなの?」

 と、根利。

「うっえっと―。」

「電車と競争している動画撮ったりしているし、やっぱりそうなの?」

「昔、好きだっただけだよ。」

 と、カイは顔を赤くしながら言い、ヘルメットを被る。

 だが、根利の他には、まだ誰も来ていない。

「ここだけの話しない?」

「何?」

「赤金アカネの事、どう思ってんの?」

 アカネの事を聞かれ、どう答えるか迷う。

(まさか本当の事言ったらどうなることか。)

 と思う。

「まぁ、気になるというか、いつも一人だし。」

 とだけ答えた。

「まぁ、近寄りがたいんだよねぇ。」

 と、根利が言った時、KLX250とCRF250Lの姿が見えた。

 そして、程なくして、YZ250FXとスーパーカブ50の姿も見えた。

「改めて見るけど、カブが2台になったね。」

 と、相生が言う。

「そういえば。」

 と、神梅。今まで、神梅のカブに、皆の食糧や荷物を積んでいたのだが、カイのCT125が加わった事で、郵便ボックスにも荷物を積めるようになった。

「なら、今度はみんなでキャンプとか、バーベキューとかもいいかも。」

 と、根利。一方で、男子陣は「えぇーっ」と言う顔。

「力仕事いっつも俺達に押し付けるんだよなぁ。押し付けられるこっちの身にもなれっつーの。」

 大間々は朝からダルそうな顔である。傍らで黒保根は大あくびだ。

 カイも久しぶりの早起きなので、思い切り濃いコーヒーを飲んで来ていた。

「さて、少し早いけど、行こうか。」

 と、根利が言い、皆、改めてヘルメットを被って、町を出発する。

 だが、それを追う一台の車に気付いていない。

 黒塗りのトヨタ・カムリ。

 運転席には、長い髪に眼鏡を掛けた、いかにもインテリ系と言うべき女性。助手席には、アカネ。

「私は行かないって言った。」

 と、アカネ。

「そうだったね。」

「まぁでも、あのファザコン野郎のいる世界は、知っておきたい。」

「理由はなんだ?」

「分からない。」

 と、アカネは言った後、

「分からないけど、母さんの言う通り、私に有益になるのなら、見ておいて損は無い。」

 と言った。


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