筑波サーキット遠征計画
赤金の家に帰宅すると、まだアカネは帰ってなかった。
家令のタキが夕食を作っていた。
「ただいまです。って、あれ?」
夕食は4人分用意していた。
「来客ですか?」
「やれやれ。この家の主の事を忘れるとは。」
タキが苦笑いしながら言った。
「あっあぁ。アカネのお母様!今日はこちらに来られるのですね。」
「週に一度程度しか帰れないからね。今日、君に会うのを楽しみにしているよ。だから、その学生服を着替えて、身なりを整えたまえ。」
「はっはい!」
ドタバタと慌てながら言うカイに、「ゆっくりでいいよ」とタキは言った。
自分の部屋でカイは、制服から私服に着替えながら、ノートパソコンを開き、先ほど撮影した、DD51の動画をパソコンに移す。着替え終わると同時に、編集作業。そして、それをスマホに読み込ませる。
(明日、あいつらに見せて、話のタネになるかな。)
と思う。ディーゼル機関車の撮影をするなんて、やはり一時期の鉄道好きの名残が残っているのだろうか。
編集を終えて、スマホをパソコンから外したと同時に、スマホに連絡。
アカネ程ではないが、ほったらかすと面倒臭そうなアクセル全開娘からのLINE通話だった。
「もしもしもしもしぃ?」
と、ジブリアニメに出てくる将軍の喋り方をする根利。
だが、肝心なジブリアニメを見ていなかったカイ。
「なんだよ。」と、普通に返してしまったため、
「つまらない奴!」
と言われてしまった。
「筑波サーキット行くとき、どう行くかの話。」
「えっ?どう行くか?」
「そう。みんなで一緒に行きたいじゃん?まさか、単独で行くつもりだったの?」
まさかも何も、今まで単独で生きていたため、最近は偶に走りに行くようになったものの、未だ、友達と一緒にツーリングするという概念が皆無に等しい。
「まぁ、そのつもりだった―」
「せっかくなんだし、みんなで行くんだよ!」
と、根利は相変わらずアクセル全開で話す。
「まぁ、ここから筑波サーキットへ行く方法は分からないし―。」
等と理由をこじ付けながら、
「一緒に行く。」
と、カイは言った。
「なっらぁ、話は決まりね。」
根利は言った。相変わらずのアクセル全開口調で。
電話が切れた。
(本当は、今行くと、オートレース養成所の様子を見られないし、見たら、嫌になっちまいそうだから、行きたくないんだよなぁ。)
と、カイは溜め息を吐きながら、三宅町から筑波サーキットへの行き方を調べ始めたのだが。
「主を放置とは、いただけないねぇ。」
と、テレビ電話で聞いた声に振り向く。
長い髪に眼鏡を掛けた、いかにもインテリ系と言うべき女性が、部屋の扉に体を預けて立っていた。
「あっ、えっと―。初めまして!水沼カイです!えっと、その、気付かなくて申し訳ございません!」




