バイク同盟
昼休みに分かったのは、バイク通学を推奨し、更に免許取得助成制度まであるこの学校だが、バイクに乗っている者は少なく、2年では、このクラスの5人と、新たに転校してきたカイだけのようだった。
今日の授業が終わり、帰りのホームルームも終わった。
「今日予定はある?」
と、根利がカイに聞く。
「いや、特に。」
「みんな今日、バイト無いから、大間々が懇親会兼ねてカラオケ行こうって。Joyカラに。駅前通り沿いにあるんだけど。」
「カラオケ?まぁ、金はあるにはあるけど―」
「じゃあ、決まり!行こう!」
根利は有無も言わさず、カイの腕を掴むと引っ張っていく。
「ちょっえっ?」
と、カイは横目でアカネを見る。
アカネは鋭い目付きをカイに向けていた。
教室から引きずり出されると、後ろから、件の大間々も来た。
「おい見たかよ赤金の野郎。お前を睨んでたぜ。昼休みにも気にしてたけど、何かしたのか?」
と、大間々。
しかし、赤金の家に住んでいる等と言ったらどうなるか分からないので、「なんか、ポツンとしていたからさ。気になって。」と誤魔化す。
「話した事ないけど、近寄りがたいんだよね。あいつ。」
と、根利は言う。
「あの、いい加減離して。痛ぇから。」
カイは根利の腕を叩いて言った。
「ああ!ゴメン!サーキット走ってる時の癖でね!いっつもエンジン全開アクセル全開になっちゃうんだよ!」
オートレース場のオーバルサーキットしか知らないカイ。筑波サーキットやツインリンクもてぎや鈴鹿サーキットのようなサーキットを走る、マルケスや青木三兄弟もそうなのか?と首を傾げたが、
「違う。ただのバカ。」
と、カブの神梅が苦笑いしながらいった。
駐輪場で、皆のバイクが揃う。カイも、自分のCT125を引っ張り出す。
「おおっ!後のは、郵便カブのリアボックスじゃん!」
黒保根が食いついた。
「先代のMD90郵政カブからの分捕り品って親父が言っていた。」
学校を出る時、ミラーで後を見ると、アカネがまたも睨み付けていた。
とりあえず、手だけ上げて答えた。
大間々のカワサキKLX250が先頭で走る。
(確か、自衛隊でも使われているバイクで、オフロード競技にも使われているそうな。そういえば、CT125もオフロード行けるんだよな。このメンバーで、オフロード走るのもおもしろいかも。)
と、ふと頭を過った。
一方で、カイを見送ったアカネはタキと自分の母にカイの事を報告する。
「バイク同盟に入りやがったあいつ。」
と、言う。
「なら、アカネも入ればいいのでは?」
タキが言った。
「どうして好きでもないバイクに乗らなければいけない。あんなファザコン野郎に合わせる義理は無い。合わせるのなら、あっちが合わせろ。人の家に転がり込んで来て。郷に入っては郷に従え。」
「そうして、心を閉ざしている内は、友達なんて、出来やしないね。」
母も言った。
「人に裏切られたのは、母さんもでしょう。人は必ず裏切る。だったら、私は誰とも一緒にならない。」
「なら、どうして、カイがバイク同盟に入った事に腹を立てた?」
「さぁ。」
「とにかく、カイとは、仲良くするんだ。まぁ、もし本当にダメな奴だったら、追い出すけど。」




