星空珈琲店~チャイラテ~
星空珈琲店に行くと、いつもチャイラテを頼む。
ここのチャイラテは、香辛料が効いてて、非常に刺激的だ。
その強烈な刺激をラテが優しく包み込み、味わいを円やかにしてくれるので、パンチが効いているのに飲みやすいという逸品だ。
「いつも、ありがとうございます」と頭を下げる店員からカップを受け取り、さっそく、少しだけ、口に含む。
うん。今日も味が違う。
不思議と、何度飲んでも、いつもの味など感じない。
変わらないのは「美味しい!」という感動だけだ。
作り手の違いや、飲み手のその日の体調や、飲む前に口にした食事の内容などによって、味がガラリと変わる。
星空珈琲店に来ると、パパは、いつもチャイラテを飲む。
でも、いつも、生まれて初めて星空珈琲店のチャイラテを飲んでいる。
深く長い余韻に、幸せに浸りながら、
「はい。後、お願い」
と、一口含んだだけで、チャイラテを助手席の嫁に手渡す。
「いつも私に後始末させるよね」
嫁が笑いの含んだ楽しそうな声で言う。
「こんな甘い飲み物、コップ一杯も飲めるか」
甘いものの苦手なパパは、チャイラテを一口しか飲めない。
それでも、飲みたい、抗うことの出来ない魔力を秘めた魔法薬である。
「文句があるなら返せ」
「文句なんか、全然、まったくありませ~ん」
ちょっと嫁とイチャイチャした。