石油ストーブ~ある冬の日~
「今日は寒いな」
そう呟き、仕事を早めに切り上げて帰路につく。
嫁はパパより仕事が終わるのが遅く、当然、家に着くのがパパより遅くなる。
またパソコンに詳しく、職場で頼られる嫁は、残業で遅くなりがちである。
対してパパの職場は、基本的に残業はしないようにされていて、定時で帰り易い。
頻繁に残業が必要とされる実情は、ご愛敬だ。
家にはエアコンがあるが、子供達には石油ストーブが好まれている。
だが、パパかママが居ない時に使うことは厳しく禁止している。
エアコンだと「寒い!」って文句を言うんだよね。
今頃、エアコンをつけて「寒い!」と文句を言っているだろう。
自然と足が早くなる。
すっかり辺りが暗くなった頃、ようやく家に到着した。
チワワのリンセと競争するように、子供達が出迎えに殺到する。
「ただいま、ハル、タカ、リンセ」
「「おかえり、パパ! 寒い! 早く石油ストーブつけて!」」
……………………。
そう捲し立てるハルとタカを見つめ、しばし沈黙し、沈痛な面持ちで噛んで含めるように、重々しく二人に告げた。
「うん、二人共。寒いなら、まず、服を着ろ」
タカの戦い byハル
弟のタカは、よくなにかと戦っている。
今もパパ相手に戦いを繰り広げている。さすが男の子。
あ! パパのお腹にタカの必殺技『焼きそばソースタックル』が炸裂した。
そこから流れるように必殺技『てんとう虫キック』にコンボ!
あーっと! 笑いすぎのパパの腹筋は大丈夫か!?